2021-01-01から1年間の記事一覧

民主主義という不思議な仕組み

安心安定の、ちくまプリマー新書。 投票と対になる「不服従」について知ることができた。最終章では現代の政治課題についてコンパクトに書かれていて、丁度良い政治入門の書。そして五十歳過ぎて政治に入門する私。 民主主義という不思議な仕組み (ちくまプ…

文化としての数学

文化の側から数学をとらえた本は少ないので、それだけで楽しめた。丁寧な文章で、おそらく謙虚で動じない人なのではないかと思う。穏やかな読書体験でした。 文化としての数学 (中公文庫) 作者:遠山啓 中央公論新社 Amazon

夏への扉

随分前に読んだはずだけど何ひとつ覚えていないので、買ってきて、読んだ。素直な SF。素直すぎてまた忘れてしまいそう。 夏への扉〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ロバート A ハインライン 早川書房 Amazon

カイメン すてきなスカスカ

「カイメン礁」に感動。 平易な文章で容赦なく専門的なトピックを紹介していく姿勢が素敵。有櫛動物、DNA 分子系統解析、真社会性動物、行動継承、溶存態有機物、深海底の化学合成生態系などなど、裾野が広い。良書。 カイメン すてきなスカスカ (岩波科学ラ…

ニュースの未来

不思議な文章読本だった。とても興味深い内容だったけど、文才のない小市民としては戸惑うことのほうが多かった。 以下のところは恐怖を感じた。正直なところ、「スケールの競争」に個人で勝負できるのは、能力を持った少数の人間だけだと思う。小さな個人と…

生命の〈系統樹〉はからみあう

遺伝子の水平伝播を確認したうえで「ダーウィンの自然淘汰は変わらずはたらくが(p.274)」とあるのを読んで興奮した。すごいぞ自然淘汰。変わらずはたらくんだ。 時系列が飛び交うので年表を書きながら読んだ。不思議な読書体験だった。 生命の〈系統樹〉は…

猫弁と星の王子

猫弁さん、しんどそう。人生に向き合うのは多分しんどいことなのだと思う。 猫弁と星の王子 (講談社文庫) 作者:大山淳子 講談社 Amazon

夏を取り戻す

疲れた。ミステリーとしての構成の都合だと思うのだけど、複数の物語が現れては消えていって、それを追いかけるので精一杯だった。飯塚忠の物語が良かった。 夏を取り戻す (創元推理文庫) 作者:岡崎 琢磨 東京創元社 Amazon

寝てもサメても 深層サメ学

雑学と科学だけでなく、研究活動についても書かれている。フルカラーなのも素敵。いろんな人が努力して完成した本なのだと思う。良い本に出会った。 寝てもサメても 深層サメ学 作者:佐藤 圭一,冨田 武照 産業編集センター Amazon

レプリカたちの夜

階層構造のおかげで世界の整合性は守られたけど、そのぶん物語が弱くなった気がして、ちょっと寂しかった。 最初からポップな物語のつもりでいたら、もっと楽しめたのかもしれない。 レプリカたちの夜(新潮文庫) 作者:一條次郎 新潮社 Amazon

即戦力が身につく Oracle PL/SQL 入門

PL/SQL はネット検索でチマチマ勉強してたのだけど、限界を感じたので書籍購入を決意。「全体像」と「癖のある部分」をバランスよく理解できたので、満足。 即戦力が身につく Oracle PL/SQL入門 作者:一志達也 翔泳社 Amazon

月魚

清潔感と背徳感。濃い登場人物と静かな文章。そう言えば「三浦しをん」ってこういう感じだったな、と不思議な感覚。調べたら前に読んでから十年近く経ってた。 あと、キャラがみんな濃くて月魚の存在を忘れてしまいそうだった。 月魚 (角川文庫) 作者:三浦 …

おしっこちょっぴりもれたろう

買った。少し気力が戻った。 おしっこちょっぴりもれたろう 作者:ヨシタケ シンスケ PHP研究所 Amazon

実力も運のうち 能力主義は正義か?

原著のタイトルは「The Tyranny of Merit(能力の専制)」であって、運とか実力とかの話ではないぞ。と自分に言い聞かせながら読んだ。自分の中でのタイトルは「労働の尊厳」にしておこう。そうしよう。 いくつか気付きがあった。優秀で正しいとしても信頼が…

2021 年のパインぱんの人

2021 年のパインぱんの人。ちょっと濃いファッション。

失われた過去と未来の犯罪

第一部の「大忘却」が最高にスリリングだった。第二部は(個々のエピソードは興味深かったけど)全体としてどのように解釈すべきか戸惑った。 読み終えて三日ほどして「たぶんこれはホラーじゃないかな」と思った。そういうことにしておこう。 失われた過去…

子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。

エッセイと科学ドキュメンタリーの奇跡の融合。 日常の心の揺らぎ(不安)と、科学的統計的な事実とが、折り合いそうでギリギリ折り合わない。絶妙なバランス感覚。 子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。 作者:ユーラ・ビス 柏書房 Amazon

情報を正しく選択するための認知バイアス事典

どこかで覚えた雑学たちの学問的な根拠が分かるのが案外心地よくて、一息に読み終えた。 挿絵は「愛の9時着」が良かった。 身体感覚が流動的で拡張可能、という話は興味深い。 ゴム手錯覚という現象からわかるもう 1 つの重要なことは、自分にとって「自分…

「色のふしぎ」と不思議な社会

二度読んだ。予想より内容が濃くて冷静に読めなかったから。 進化の「事例」としての「色覚の多様性」が興味深かった。でも、それ以上に、著者自身が「実は色覚異常ではなかった」と発覚するくだりが、著者の価値観の変化が、心に刺さった。それぞれの人にそ…

どこからが病気なの?

どうにも「良書」と言えないのは、徹頭徹尾、たとえ話(アナロジー)だけで構成されているから。どんなに分かりやすくて実用的だとしても、アナロジー「だけ」で押し切るのは、副作用が大きい。危険だ。 …という建前はともかく、とても面白かった(おい)。 …

箱庭図書館

買ったあとで企画モノ(読者のボツ原稿を乙一がリメイク)と気付いた。正直に言うと少し後悔したけど、読んだらちゃんと面白かった。後悔してごめんなさい。 「ホワイト・ステップ」はちょっと泣きそうになった。 箱庭図書館 (集英社文庫) 作者:乙一 発売日:…

WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

こんな挑発的なタイトルなのに、中身はバランスのとれた良書でした。 正直に言うと、物足りなかったのですが、読んでみないと分からないもんなあ。 少しずつ、だけど着実に、「養老孟司が帯(オビ)を書いてる本は、自分には合わない」という実績が積み上が…

動物園・その歴史と冒険

動物の権利やエコロジーとかの「理想論」が、動物園というある意味泥臭い現場と結びつくことで、現実の課題として理解できたように思う。 いつのまにか「未来の動物園」に想いを馳せている自分に気付いた。素敵な読書体験でした。 動物園・その歴史と冒険 (…

野良猫を尊敬した日

帯に「ほっこり、肩の力が抜けるエッセイ」とあるけど、この作者の文章はそんなんじゃないことは、もう知ってる。読むとやっぱり、九割が絶望で、残りの一割は、その絶望に負けずに生きる物語だった。少なくとも私にとっては。 野良猫を尊敬した日 (講談社文…

不穏な眠り

葉村晶。今回は不幸成分が薄めなのかな、と思ってたら四作目の表題作がどっぷり不幸で納得。不幸小説。 不穏な眠り (文春文庫) 作者:若竹 七海 発売日: 2019/12/05 メディア: Kindle版

人間たちの話

面白かった。SF の仕掛けと登場人物の人間味とのバランスが絶妙。 人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA) 作者:柞刈 湯葉 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版