2015-01-01から1年間の記事一覧

犬は「しつけ」でバカになる

副題に「動物行動学」、「認知科学」の単語があったので、つい期待してしまったのだけど、そういう本ではなかった。そういう期待をしなければ、かなり面白い本だと思う。こういう羊頭狗肉な本が、新書にはやや多い気がする。新書を読もうという意欲が少しず…

水曜日のアニメが待ち遠しい

悪者にも人生がある、シリアスとユーモアの共存、フランスで日本アニメが受け入れられる過程の偶然、など、作者の考えに賛成。ちょっと裏付けが弱い気がするけど。サブタイトルに「解き明かす」とあったので変な先入観があったかも。もう少し「エッセイ寄り…

変身

何となく敬遠してしまってた東野圭吾を、妻が図書館で借りてきていたので「これはチャンスかも」と読んだ。読むと面白いんですよね。でも自分で選ぶときには、つい敬遠しちゃうんですよね。なんでだろ。変身 (講談社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講…

海洋生物学 地球を取りまく豊かな海と生態系

これは良い教科書。実例の拾いかたが上手いのかな。このシリーズ(サイエンス・パレット)はハズレが少ない印象。海洋生物学 (サイエンス・パレット)作者: Philip V.Mladenov,窪川かおる出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2015/03/26メディア: 単行本(ソフ…

希土類少女

途中から「これは中年オヤジ向けのラノベでは?」と疑いながら読んでいたのだけど、最後まで読んでみて、うん、これは中年オヤジ向けのラノベだ。間違いない。それはそれで楽しく読ませていただきました。希土類少女 (講談社文庫)作者: 青柳碧人出版社/メー…

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ

辻村深月の物語は、面白いけど、疲れる。最近気力が少なくなっていて、疲れるのが嫌だったので、ちょっと避けていた。久しぶりに読んでみたら、やっぱり疲れた。疲れるけど面白い。もっと元気になりたいなあ、とぼんやり思う。私は疲れてて、早く自分に限界…

超ディープな深海生物学

だいたい自分で「超ディープ」とか言ってるのがディープだった試しはないのだけど、でもとても良い本だった。たとえば、こういう視点(引用)を堂々と書くのは素敵だ。批判もあると思うのだけど。ウミユリは本来、棲息できないはずの泥底や砂底でも、私たち…

ジョン平とぼくときみと

疲れ果てていて、本なんて読めないかも、と思ってたのだけど、読むと元気が出た。好きな小説があると元気が出るんだ、ということを思い出させてくれた。感謝。ジョン平と重は、どこか「フェア(公正)」な感じがあって、好きだ。ジョン平とぼくと4 ジョン平…

形態学 形づくりにみる動物進化のシナリオ

進化論の本は大抵なんでも楽しく読んでしまうのだけど、この本は別格に面白かった。振り返れば、比較形態学や比較発生学の歴史は、動物の解剖学的成り立ちや、それが進化する規則性を抽出することを通じて間接的に、胚の進化発生的モジュール構成を感知する…

ぐるぐる猿と歌う鳥

久しぶりに小説を読んだ。小説を読む気力がある、というのは幸せだ。ミステリーの部分にかなり無理があるけど、こういう「物語」は好きだ。そう思って振り返ると、加納朋子の「物語」は大抵好きだな。ぐるぐる猿と歌う鳥 (講談社文庫)作者: 加納朋子出版社/…

生命のからくり

分子構造などの物理的化学的な説明を踏まえた上で、生命の本質は「情報」だと書かれていて、そのギャップが楽しかった。物理的化学的な内容と、それをそぎ落とした「情報」の、両方を扱った本は少ないので。生命のからくり (講談社現代新書)作者: 中屋敷均出…

2015 年のパインぱんの人

2015 年のパインぱんの人。妻のパインぱんフォルダより(妻に感謝)。髪型すっきり。

知られざる日本の恐竜文化

途中、オタク論あたりで、読む本を間違えたかと思ったけど、ここを乗り越えたら後は普通に読めた。クセがある文章で、斜め視点だけど、良い本。化石が枯渇する、という視点は気付いてなかった。確かに。もっとも、その前に、物理的に恐竜研究の歴史には一つ…

恐竜 化石記録が示す事実と謎

とても良い本。翼竜や魚竜、首長竜なんかについても、こういう本があると良いのに。恐竜 化石記録が示す事実と謎 (サイエンス・パレット)作者: 冨田幸光,大橋智之出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2014/06/25メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見…

悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘

全体を通じての主張が何なのか読み取れなかった。何かの「伝説」を批判してみたかっただけで、対象は航空エンジンでなくてもよかったのでは、という気がしてならない。……とか言いつつ、「伝説を批判する本」として普通に面白くて、一気に読んじゃったのだけ…

銀河ヒッチハイクガイド

たしか高校のころに一度読んだはずだけど、答えが 42 であること以外は全く覚えていないことに気付いて、図書館で借りて再読。猿とハムレットとか、当時は知らずに素通りしてたな、多分今でも知らずに素通りしてるところがたくさんあるんだろうな、とニヤニ…

大人のための「恐竜学」

恐竜、というだけで何でもそれなりに楽しめてしまう。恐ろしいジャンルだ。>>なお、恐竜の性に関しては謎も多く、例えば竜脚類のような大型種がどのような姿勢で交尾をしていたのかはまったくわかっていません。(p.115)<<「まったく」というところが、良い…

分類思考の世界

「進化」とか「認知」とか「分類」とか、興味のある分野が目白押しで、楽しかった。扱う生物種が今後も増え続けるなら、最終的には、計算機にお願いすることになるのだろう。コンピューターさんが「ヒトの脳ミソの能力なら、過去の経緯も踏まえて、この分類…

系統樹思考の世界

系統樹というのが、何らかの形で歴史を扱うものであって、だから原理的に推論を含まざるをえないものだ、ということが丁寧に書かれていた。良い本。系統樹思考の世界 すべてはツリーとともに (講談社現代新書)作者: 三中信宏出版社/メーカー: 講談社発売日: …

祖国とは国語

最後の満州の文章が、嫌で嫌で仕方なかった。この人は、自分の故郷を美しいと言うためなら、自分以外の人々が住む土地を平気で醜いと書いてしまうのだ。以下のくだりは、いいこと書いてると思ったが、全体的には弱者に配慮のない嫌な本だった。 その人の教養…

巨大ウイルスと第4のドメイン

こういう野心的な部分のある科学の本が好きなのだ、と実感した。疲れているのに読み切ってしまった。でもこの本で一番印象に残ったのは、この文章。さらりと流すなんて、ずるい。 ミミウイルスの仲間として新たに見つかった「ママウイルス」(Mamavirus)と…

マネジメント信仰が会社を滅ぼす

会社の先輩に貸してもらった本。今ちょうどマネジメントに関連する仕事をしていて、ちょうど仕事がしんどいと感じてる真っ最中なので、とても「楽しく」読んでしまった。正直、客観的に読めた自信はない。以下の文は、自戒の意味で、覚えておきたい。 そんな…

コレモ日本語アルカ?

日本語側と中国語側の両方から丁寧に分析されている。日本語側は、宮沢賢治、夢野久作にはじまり、後半には、サイボーグ 009、ゼンジー北京、らんま 1/2、銀魂、ヘタリアまで目白押しで楽しく読めた。中国語側は(中国語の知識がないので)読むのがしんどか…

ビブリア古書堂の事件手帖

妙に流行っちゃって買いそびれていたビブリア古書堂、古本屋で百円になってたのを良いきっかけと、購入。こんなに売れた本を今さら「面白かった」と書いても仕方ないのだけど、ええと、面白かった。でも続編買うかと言われると、ちょっと悩んでる。いつから…

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う

何か本を読まなくては、という強迫観念みたいなものを感じてしまい、駅の本屋で無理矢理選んで買った。どことなく雑な文章だったけど、シンプルな信念が感じられて、気持ちよく読めた。 「単細胞」といえば「単純で有効な戦略でうまくいくこと」という意味に…

バーにかかってきた電話

思ってたより爽快感があって、わりと気持ちよく読めた。三か月くらい何も読んでなくて「とにかく読もう、読みさえすればきっと満足だ」という心構えで読み進めたのも、たぶん良かったのだと思う。バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)作者: 東直己出版社…