2014-01-01から1年間の記事一覧

ねずみに支配された島

科学を忘れず物語(ノンフィクション)を語る、とても良い本。ただ「人間こそが最悪の外来種だ」とは書いてなかった。そこまでは書いてなかった。意図して書かなかったんだろうな。ここまで書ける人が気付かないはずないもんな。ねずみに支配された島作者: …

肉食屋敷

独自の着想が楽しい物語たち。肉食屋敷 (角川ホラー文庫)作者: 小林泰三出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2000/09メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 9回この商品を含むブログ (13件) を見る

冷えと肩こり 身体感覚の考古学

後半に向かうにつれ、少しずつ「文化論」になっちゃって、ちょっとしんどかった。第1章の「冷え性の発見」は、とても楽しかった。冷えと肩こり 身体感覚の考古学 (講談社選書メチエ)作者: 白杉悦雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/08/12メディア: 単行…

SF 的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

これは新鮮な驚きでした。父親のつまんない失敗を何の救いもなく失敗と言い放って、それでもなお未来に向かおうとするエンディングが、とても良かった。SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: チャールズ・ユウ,朝倉めぐみ…

聞く力

なんと言うか、その、エッセイだった。いや、作者はエッセイストだから、エッセイで当たり前なんだけど。おいらが油断してただけなんだけど。聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)作者: 阿川佐和子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/01メディア: 新…

ふちなしのかがみ

一本目の「踊り場の花子」が、密度が高くて良かった。短編なのにリアリティのあるホラー。実は読んでてちょっとしんどかったのだけど、それも魅力のひとつと思う。ふちなしのかがみ (角川文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッ…

短歌ください

この作者のエッセイが、たしかとてつもなく面白かったという記憶があり、深く考えずに借りた。エッセイ同様、短歌紹介の文がとても良い。短歌は、「分かる」ことが、「私ならその気持ち理解できますよ」ということが、楽しくなる文化だと思った。短歌くださ…

中高生のための「かたづけ」の本

片付けの「トレーニング」の本だと思って借りたのですが、もちろんトレーニングについてもしっかり書かれていたのですが、それ以上に人生の本だった。大人も読める。いつかもう一度読みたい。中高生のための「かたづけ」の本 (岩波ジュニア新書)作者: 杉田明…

緑色のうさぎの話

前に読んだことのある作者の「絵本」があったので借りてみた。緑色のうさぎの話作者: 道尾秀介,半崎信朗出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2014/06/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る

鉄道そもそも話

たぶん読む側の基礎知識不足のため、ちょっとしんどい内容だった。背伸びしすぎた。鉄道そもそも話―これだけは知っておきたい鉄道の基礎知識 (交通新聞社新書)作者: 福原俊一出版社/メーカー: 交通新聞社発売日: 2014/06メディア: 新書この商品を含むブログ…

ぼくのメジャースプーン

いろんな仕掛けが混然としてどの仕掛けが何のためなのか分からないのだけど、それでも物語はきちんと伝わってきて、こういうの大好きです。ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/04/15メディア: 文庫購入:…

平面いぬ。

「BLUE」が良かった。ありきたりな展開で、ハッピーエンディングでもなくて、馬鹿正直だけど結局報われなくて、だから何の教訓もないのけど、そんな物語が読みたい気分だったのだと思う。平面いぬ。 (集英社文庫)作者: 乙一出版社/メーカー: 集英社発売日: 2…

他人を攻撃せずにはいられない人

その時ちょうど気になっていたこと、そのままのタイトルの本があったので、半分強迫観念のような感じで買ってしまった。たぶん疲れていたんだと思う。内容も、タイトルと同じくらい「そのまんま」で、新たな知識は何も無かったけど、そのぶん「これでいいん…

にゃんそろじー

ぱらぱらめくってみたら「モノレール猫」が載ってたので、それだけの理由で借りてみた。個別には保坂和志の句点のない文章が良いな、と思った。全体的には「やっぱり猫好きの人は変なこと考えるよなあ(賞賛)」と思った。にゃんそろじー (新潮文庫)作者: 中…

家に棲むもの

表題作で、ホラーとハッピーエンディングが両立していて、感動した。さすが小林泰三。家に棲むもの (角川ホラー文庫)作者: 小林泰三出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2003/03メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (26件) を見る

哺乳類のかたち

「ハヤブサがインコの仲間になった」というニュースを聞いて、生物の分類法について知りたくなっていたところに、ちょうど図書館の新入荷コーナーで見かけた本。素直に出会いを信じて借りた。専門的な知識にも触れつつ、脇道や脱線も忘れない、心地よい文章…

動物園の文化史

定説や客観的な資料が少ない分野なのではないかと勝手に想像しているのですが、この本はその辺りを上手い具合に表現しているな、と思った。本筋と全く関係ないのですが、以下の文章を読んで「この作者について行こう」と思った。「しかし」というところが、…

獣の奏者 3探求編・4完結編・外伝 刹那

続編にありがちな「蛇足感」がほとんどなく、気持ち良く読み切ることができた。幸せな読後感。獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/10メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (26件) を見る獣…

獣の奏者 1闘蛇編・2王獣編

物語について語られた物語なのかな、と思いつつ読んだ。勇気あるタイミングで物語を終えることなく小説を終わらせてしまっている。それでもきちんと伝わってくる。すごい。獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: 講談社発売日: 200…

ルナティカン

実はよく分からなかったのだけど、とりあえず読み切った、という感じ。神林長平の小説は、ときどきこういう風になっちゃう。ルナティカン (ハヤカワ文庫JA)作者: 神林長平出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/03メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含…

深海の Yrr

SF 小説の皮をかぶったハリウッド映画だった(褒め言葉)。SF でも小説でもなく、ハリウッド映画だった(褒め言葉)。深海のYrr 〈上〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)作者: フランク・シェッツィング,北川和代出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/04/23メデ…

ジョン平とぼくらの世界

一気に、気持ち良く、読み切った。なぜだろう、どこかしらで科学に基づいているという信頼のようなものがあるからか、とても安心して読むことができた。ここしばらく上手く本が読めないでいたので、こんな風に本を読めるって、本当に幸せだと実感した。ジョ…

2014 年のパインぱんの人(見えそうで見えない)

2014 年のパインぱんの人。見えそうで見えないミステリアスな一枚。たぶん可愛い感じ。妻のパインぱんフォルダより(妻に感謝)。

ツナグ

久々に小説を読んだ。しばらく小説を読めなくなっていたので(うまく言えないけど気力がなくなってたのだと思う)、読み終えたときは本当に「読めて良かった、まだ小説を読むことができるんだ」という安堵でいっぱいだった。そのせいだと思うのだけど、物語…

「ストーカー」は何を考えているか

どちらかと言うとストーカー(加害者)側の視点の本で、その一点だけでも面白いと思う。文章も、この手の新書にしては、誠実で丁寧だと感じた。「ストーカー」は何を考えているか (新潮新書)作者: 小早川明子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/04/17メデ…

「昨日の疲れ」が抜けなくなったら読む本

素直に良い本だと思った。ときどき、こういう直接的な本を読みたくなるのは、やっぱりどこか疲れてるんだろうなあ。「昨日の疲れ」が抜けなくなったら読む本作者: 西多昌規出版社/メーカー: 大和書房発売日: 2011/05/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入…

寝ながら学べる構造主義

そうか、太郎冠者が太郎冠者であるのは自分が太郎冠者であることを太郎冠者本人が否定してるからなのか、と。いや、ここは本質じゃないんだけど、まあ、こういう本質じゃないところが楽しくて、最後までスムーズに読み進めることができました。 それは、太郎…

キリンの斑論争と寺田寅彦

1933 年の「キリンの斑論争」自体もとても面白いし、それを貫く寺田寅彦の姿勢も素晴らしいし、それが現代(1997 年)でも十分に魅力的な研究対象であるのも興味深いのだけど。個人的には、あのチューリングが動物の斑模様に関する一般的なモデルを提案して…

負けるのは美しく

その人のイメージから少し違った側面を感じられるのがエッセイの醍醐味だと思うのだけど。その意味ではとても良いエッセイだと思うのですが。児玉清って「知的で分別のある大人」というイメージがあったので、少し違った一面(つまり知的でなかったり分別が…

目を擦る女

「脳食い」の虚しいハッピーエンディングと、「空からの風が止む時」の刹那な文明が、素敵だった。やっぱり小林泰三はいいなあ。目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)作者: 小林泰三出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/09メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 37回…