カイメン すてきなスカスカ

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「カイメン礁」に感動。

 

平易な文章で容赦なく専門的なトピックを紹介していく姿勢が素敵。有櫛動物、DNA 分子系統解析、真社会性動物、行動継承、溶存態有機物、深海底の化学合成生態系などなど、裾野が広い。良書。

 

 

 



ニュースの未来

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不思議な文章読本だった。とても興味深い内容だったけど、文才のない小市民としては戸惑うことのほうが多かった。

 

以下のところは恐怖を感じた。正直なところ、「スケールの競争」に個人で勝負できるのは、能力を持った少数の人間だけだと思う。小さな個人としてはとてもしんどい。

 

ですが、今は少しだけ危機感を覚えています。多くの書き手が王道を歩む「良いニュース」を出していかない限り、あっという間にスケールの競争に飲み込まれてしまい、ニュースは劣化していきます。(p.248)

 

読後一週間。ニュースの受け取りかたが大きく変わった。

 

送り手の意図を意識するだけで世界の見えかたが変わるのは、心地よくもあり、微かな恐怖も感じる。ニュースの威力。

 

改めて、良い本でした。

 

 

 

生命の〈系統樹〉はからみあう

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遺伝子の水平伝播を確認したうえで「ダーウィン自然淘汰は変わらずはたらくが(p.274)」とあるのを読んで興奮した。すごいぞ自然淘汰。変わらずはたらくんだ。

 

時系列が飛び交うので年表を書きながら読んだ。不思議な読書体験だった。

 

 

 

 

夏を取り戻す

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疲れた。ミステリーとしての構成の都合だと思うのだけど、複数の物語が現れては消えていって、それを追いかけるので精一杯だった。飯塚忠の物語が良かった。

 

 

 

 

寝てもサメても 深層サメ学

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雑学と科学だけでなく、研究活動についても書かれている。フルカラーなのも素敵。いろんな人が努力して完成した本なのだと思う。良い本に出会った。

 

 

 

 

レプリカたちの夜

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階層構造のおかげで世界の整合性は守られたけど、そのぶん物語が弱くなった気がして、ちょっと寂しかった。

 

最初からポップな物語のつもりでいたら、もっと楽しめたのかもしれない。

 

 

 

 

即戦力が身につく Oracle PL/SQL 入門

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PL/SQL はネット検索でチマチマ勉強してたのだけど、限界を感じたので書籍購入を決意。「全体像」と「癖のある部分」をバランスよく理解できたので、満足。

 

 

 

月魚

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清潔感と背徳感。濃い登場人物と静かな文章。そう言えば「三浦しをん」ってこういう感じだったな、と不思議な感覚。調べたら前に読んでから十年近く経ってた。

 

あと、キャラがみんな濃くて月魚の存在を忘れてしまいそうだった。

 

 

 

 

実力も運のうち 能力主義は正義か?

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原著のタイトルは「The Tyranny of Merit(能力の専制)」であって、運とか実力とかの話ではないぞ。と自分に言い聞かせながら読んだ。自分の中でのタイトルは「労働の尊厳」にしておこう。そうしよう。

 

いくつか気付きがあった。優秀で正しいとしても信頼がないと議論は成立しないこと。自由経済があまりにシンプルでタフで、改変が難しいこと。「尊厳」なしでは人生が成立しないこと。などなど。

 

読書室と図書館のくだりが印象的だった。まずは読書室について。

 

示唆に富む例の一つが、アメリカで最初の大規模労働組合の一つである労働騎士団が、労働者が公共問題について学べるようにするため、工場内に読書室を設けるよう要求したことである。この要求は、市民としての学びは職場に不可欠だと考える共和主義の伝統から生まれた。(p.276)

 

次は図書館。「彼」は『米國史』のジェームス・トラスロー・アダムス。「一般閲覧室〜」以降は引用の引用(つまり『米国史』からの引用)。

 

具体例として彼が挙げているのがアメリカ議会図書館だ。それは「民主主義が自らの力で達成できることの象徴」であり、職業や地位を問わず、あらゆるアメリカ人を引きつける公共の学びの場である。

一般閲覧室を見下ろす。この部屋だけで一万冊の本が収められ、それらは請求する必要もなく、自由に読むことができる。座席は静かに本を読む人たちで埋まっている。老いも若きも、富者も貧者も、黒人も白人も、重役も労働者も、将軍も兵卒も、著名な学者も学童も、みなが、自分たちの民主主義が提供する自分たちの図書館で本を読んでいる。(p.320)

 

あと、以下のところで、なぜか泣きそうになってしまった。「オオサンショウウオ」が良かった。

 

生徒たちが不安げに、このでまかせ小テストも点数がつき、成績に反映されるのですかとたずねると、先生は「そうさ、もちろんだ」と答えたものだ。

そのときは、いっぷう変わっているが愉快な、教室での冗談だと思った。だが、いま振り返ってみると、ファーナム先生は先生なりのやり方で、能力の専制にあらがおうとしていたのだとわかる。生徒たちを選別と競争から引き離し、サンショウウオに目を見張るだけの余裕を与えてやろうとしたのだ。(p.280)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本訳書では(p.332)

このあたりうまく切り取りたい。

 

 

失われた過去と未来の犯罪

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第一部の「大忘却」が最高にスリリングだった。第二部は(個々のエピソードは興味深かったけど)全体としてどのように解釈すべきか戸惑った。

 

読み終えて三日ほどして「たぶんこれはホラーじゃないかな」と思った。そういうことにしておこう。

 

 

 

 

子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。

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エッセイと科学ドキュメンタリーの奇跡の融合。

 

日常の心の揺らぎ(不安)と、科学的統計的な事実とが、折り合いそうでギリギリ折り合わない。絶妙なバランス感覚。