どうにも「良書」と言えないのは、徹頭徹尾、たとえ話(アナロジー)だけで構成されているから。どんなに分かりやすくて実用的だとしても、アナロジー「だけ」で押し切るのは、副作用が大きい。危険だ。
…という建前はともかく、とても面白かった(おい)。
以下、素敵だったところ。
ところで私の知人はすぐテレビの健康特集にダマされる。ある週には納豆が体にいいと聞いてスーパーで納豆を買い込み、翌週にはカスピ海ヨーグルトがいいらしいと(略)。私はそれを見て、最初は、テレビのいいカモじゃないかと悲しい気持ちになったのだが、あるときふと、「週替わりで違う食材を試している結果、多様な栄養確保をできているんだよな……もしかしたらこれって、すばらしい食生活なのではないか?」と思った。一部の人間に見られる「飽きっぽさ」というのは、本人に多様な因子と触れる機会を与える、優れた生存戦略なのかもしれない。(p.102)
病気とは、「こないだまでの自分がうまく保てなくなること」。
健康とは、「こないだまでの自分をうまく保ち続けていること」(ホメオスタシス)。(p.109)