民主主義とは何か

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試行錯誤のさなかの通過点としての現代の民主主義。もしかしたらゴールはなくて、動的平衡のようなものを目指しているのかも。面白かった。

 

民主主義には二五〇〇年を超える歴史があるといいましたが、古代ギリシアを別にすれば、近代において民主主義の具体的な制度化が進んだのは、この二世紀にすぎません。その制度が完成したものであるとは到底いえず、むしろ今後も試行錯誤によって制度を充実させていく必要があります。(p.254)

 

トクヴィルは印刷術や郵便もまた平等化を促進したといいます。これらの発達は、それまで特定の集団に独占されていた知や情報へのアクセスを、より多くの人々へと開放するチャンネルとなったからです。そうだとすれば、今日のテクノロジーの発展はどうでしょうか。

より多くの人々が情報やデータにアクセスするのみならず、自ら発信することを可能にするSNSの技術は、文字通り、人々を「デモクラタイズ(民主化)」します。巨大な資本や設備がなくても、人々が製品や作品を容易につくることを可能にする3Dプリンターのような機械は、大組織中心の社会をより「フラット」なものにするでしょう。(p.261)

 

第二に、「参加を通じての当事者意識」です。私たちは、自分と関わりのないことには、いくら強制されても力を出せません。これはまさに自分のなすべき仕事だ、自分たちにとってきわめて大切な事柄だと思えてはじめて、主体的に考え、自ら行動する動機が生じます。逆に自分に深く関わることに対して無力であり、影響を及ぼすことができないという感覚ほど、人を苛むものはありません。私たちは身の回りのことから、環境問題など人類全体の問題にまで、生き生きした当事者意識をもちたいと願っています。民主主義とは、そのためにあるのです。(p.264)