絶滅の人類史

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やはり「絶滅した理由」というのは明示的に提示できるようなものではないのだなあ。と、ある意味で納得した。

 

帯の「ホモ・サピエンスネアンデルタール人を殺した?」は、さすがに煽り過ぎだと思う。

 

主に「多産」「生き残る子孫の数」について述べられているのだけど、ほんの少しだけ「食料の競合」についても述べられていて、ちょっと嬉しい(下記引用二つ目とか)。食料の競合(もっと言うと、ホモ・サピエンスが資源を食い尽くしてしまうこと)に興味があるので。

 

つまり問題は、森林で生活していた祖先よりも、草原で暮らしていたアウストラロピテクスの方が、より多く食べられてしまうということだろう。要は程度の問題だ。それなら解決策はある。多く食べられた分だけ、たくさん産めばいいのである。実際、草原に住む霊長類は、森林に住む霊長類よりも、多産の傾向がある。(p.103)

 

アウストラロピテクス・ボウセイが、頻繁に肉食をしていたホモ・エレクトゥスに狩られた可能性もないとは言えない(証拠はないけれど)。しかし、それよりは、食料をめぐる競争に敗れた可能性の方が高いだろう。そして、とうとう人類には、ホモ属しかいなくなってしまった。(p.139)

 

すでに述べたように、結局、生物が生き残るか、絶滅するかは、子孫をどれだけ残せるかにかかっている。だから原因が何であれ、ネアンデルタール人の子供の数より、私たちの子供の数が多かったのは間違いない。子供を産める女性がたくさんいたのかもしれないし、産んだ子供があまり死ななかったのかもしれない。でもそれ以上に、1人の女性がたくさんの子供を産めた可能性が高い。すると、その結果はどうなるだろうか。(p.242)