コレモ日本語アルカ?

日本語側と中国語側の両方から丁寧に分析されている。

日本語側は、宮沢賢治夢野久作にはじまり、後半には、サイボーグ 009、ゼンジー北京、らんま 1/2、銀魂ヘタリアまで目白押しで楽しく読めた。

中国語側は(中国語の知識がないので)読むのがしんどかったけど、最後まで読んで、中国語側の視点も不可欠な構成だと分かり、納得。良い本です。

あとがきから二箇所引用。

フィクションに登場する〈アルヨことば〉の使い手は、尊敬すべき崇高な人格者ではない。しかし一方で、特に私の子供時代に出会った戦後の作品では、明るく朗らかで前向きな、魅力的な人格も同時に表現されていたはずである。本書執筆の動機には、こういった子供時代からの〈アルヨことば〉への愛惜の念があった。(p.215)

本書に記してきたことを踏まえるなら、もはや政治的な文脈への配慮なしに軽々に〈アルヨことば〉を用いたり論じたりすることは慎まれるべきである。本書に記したことばの背後にある歴史についての知識や、またそれに伴う配慮が、新たな日本の常識となることを願ってやまない。その一方で、子供のころから好きだった〈アルヨことば〉の歴史をきっちりと描き出し、ある意味で永遠に供養したいという願いもまた本書の執筆を強く支えていたのである。多くの読書子に筆者の思いが伝わればこれに勝る喜びはない。(p.216)