アリはなぜ、ちゃんと働くのか

アリはなぜ、ちゃんと働くのか―管理者なき行動パタンの不思議に迫る (新潮OH!文庫)

アリはなぜ、ちゃんと働くのか―管理者なき行動パタンの不思議に迫る (新潮OH!文庫)

読んでみて、予想通りに面白く、予想通りに未解明な部分が残るような、予想通りの科学の本。

アリが「ちゃんと働く」仕組みについては結局最後まで読んでもわからない。それもそのはず原題は「Ants at Work: How an Insect Society Is Organized」であり、もともと「ちゃんと働く」ことについて解明した本ではない。こういう恣意的な翻訳は嫌いだ。

訳者による解説が良かった。本編と関係なく唐突にネオダーウィニズムと構造主義生物学の対立について書かれていた。ああ、この人はこれを主張したかったのか、と妙に納得し、その人間臭さに共感した。