免疫について丁寧に説明されていて勉強になった(これまで何を読んでも全然分からなかったけど、少しだけ分かるようになった)。
さらに経皮感作の重要性を知らしめたのが、2011 年に日本で起きた「茶のしずく石鹸事件」です。
(略)
当時販売されていた「茶のしずく石鹸」には、小麦の加工物「加水分解小麦」が含まれていました(現在発売されている同名の製品には含まれていません)。
(略)
被害が報告された当初は、経皮感作の知見が十分でなく、石鹸で顔を洗うだけで、なぜ小麦アレルギー反応が起きるのか、原因がよくわかりませんでした。この事件をきっかけに、皮膚からアレルゲンが侵入することで、食物アレルギーが起きることが広く知られるようになりました。このように、アレルギー疾患の起点には「経皮感作」があることを裏付ける報告が集積したことで、論争にはほぼ決着がつき、いまでは「二重抗原曝露仮説」は科学的に正しいものと考えられています。(p.200)
しかしアレルギー反応は、皮膚の表面から侵入した異物で感作が起きて、それがきっかけで食物摂取を通じて、食物アレルギーが起きます。皮膚感作によって、通常なら寛容だった腸内免疫が外来抗原に厳しく反応するようになったのが、アレルギー反応の本質です。両者の間には目に見えないミッシングリンクが存在するのです。(p.259)