タツノオトシゴのことを知らないな、と実感した一冊。タツノオトシゴのことを前より少し好きになった。
以下、タツノオトシゴを好きになるエピソードの引用。
ベトナムのある漁師は、タツノオトシゴの保全に関する議論の際、「みずから漁具につかまるような愚かな魚をどうやったら保護できるんだい?」と言ってきました。(p.25)
タツノオトシゴは、驚くとより強くモノにつかまるので、そのモノと一緒に流されてしまったり、新たにつかまるモノを見つけるために時間がかかってしまうと、探索のために危険な時間を過ごすことになります。(p.25)
一方でタツノオトシゴは、驚異的な帰巣能力をもっています。H. guttulatus のある個体は 150m も離れたもとのつかまるモノに 8 日後に戻り、別の個体は 60m 離れた元の場所に 1 日で戻ったことがが観察されました。(p.25)
「驚異的な帰巣能力」のスケール感が 150m。
たとえそれが、種の保全という本質的な価値ではなく、薬の原料としての価値を守るためだとしても、彼らもまたタツノオトシゴが存続することを望んでいるのです。(p.49)