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チンパンジー

チンパンジー―ことばのない彼らが語ること (中公新書)

チンパンジー―ことばのない彼らが語ること (中公新書)

生物学の本を読みたいとずっと思っていて、チンパンジーはちょっと「普通の生き物」すぎてつまんないかな、とか高慢な心配しながら選んだけど、これがとても良い本で、この幸運な出会いに感謝。

チンパンジーの本としても満足の内容だけど、それ以上に、「科学のありかた」や「科学という枠組みの客観性の限界」についての考察が端的な実例とともに説明されていて、とても勉強になった。

結局のところ、人は、自分が気付いたことについてしか調べられないわけで(自分が自覚してないことについて調べるなんて不可能なわけで)、それは誰かの能力不足だとか、誰かの悪意のせいだとかではなくて、不可抗力なのだと納得。

一歩進んで、客観的な事実らしきに気付いたとしても、その事象について調べる手法が確立してない場合は、現実問題として調査を先送りするしかないし、先送りしたくないなら、既に手法が確立している「似ているけどちょっと違う調査」で代替するしかないわけで、これも誰が悪いわけでもなし。

そういう「もどかしさ」の中で少しでも正しくあろうともがき続けるのが科学なんだろうなあ、と思う。ほんとマゾですよね科学って。