内臓脂肪を最速で落とす

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産業医さんの講義みたいな内容だな、と思ったら、著者は医学博士かつ産業医さんだった。

 

読者に何をして欲しいのか、という「ゴール」が(たとえば「読者に運動をして欲しい」というゴールが)著者の中にあって、そのゴールに向かって読者を誘導するための科学的エピソードが集められている印象。なんとなくだけど、ゴールに向かわない方向のエピソードは黙殺されているような気がする。

 

でも、痩せたいので(仮に黙殺されていたとしても気にせず)素直に運動しようと思う。

 

 

 

 

 

タツノオトシゴ図鑑

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タツノオトシゴのことを知らないな、と実感した一冊。タツノオトシゴのことを前より少し好きになった。

 

以下、タツノオトシゴを好きになるエピソードの引用。

 

ベトナムのある漁師は、タツノオトシゴ保全に関する議論の際、「みずから漁具につかまるような愚かな魚をどうやったら保護できるんだい?」と言ってきました。(p.25)

 

タツノオトシゴは、驚くとより強くモノにつかまるので、そのモノと一緒に流されてしまったり、新たにつかまるモノを見つけるために時間がかかってしまうと、探索のために危険な時間を過ごすことになります。(p.25)

 

一方でタツノオトシゴは、驚異的な帰巣能力をもっています。H. guttulatus のある個体は 150m も離れたもとのつかまるモノに 8 日後に戻り、別の個体は 60m 離れた元の場所に 1 日で戻ったことがが観察されました。(p.25)

 

「驚異的な帰巣能力」のスケール感が 150m。

 

たとえそれが、種の保全という本質的な価値ではなく、薬の原料としての価値を守るためだとしても、彼らもまたタツノオトシゴが存続することを望んでいるのです。(p.49)

 

 

タツノオトシゴ図鑑

タツノオトシゴ図鑑

 

 



 

にょにょっ記

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この著者のエッセイ(エッセイ?)は安心感がある。良い塩梅の感性。1冊目の「にょっ記」は未読。

 

 

にょにょっ記 (文春文庫)

にょにょっ記 (文春文庫)

 

 



 

眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く

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前評判とオビから想像していた内容そのまんまだったので、逆に驚く。個人的には生物の構造色のくだりが良かった。

 

最初のパートで書かれていた以下の内容は、漠然と感じてはいたけど、きちんと理解してないことだった。文章として読んで、納得した。収斂進化は、比較的、表層的なものなのだ。

 

体内の体制を段階的に構築することはできないのだ。つまり、体内の体制の収斂進化は起きない。(p.26)

 

 

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

 

 



 

 

本で床は抜けるのか

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予想通りの内容で納得しつつも退屈しかけた後半で、突然著者の人生の話(離婚)になるどんでん返し。

 

文庫版あとがきで後日談があり、ちょっと嬉しい。あと、角幡唯介の解説が良い。

 

解説から引用。

 

本というのは原則的に貯まっていくとこに決まっている。そういうメカニズムになっているのだから、これはもう避けようがない。

 

本読みは、その機会を逸するのが怖いのだ。だから感覚的に、七割方読まないだろうけどまあ三割ぐらいの確率で読むかな、という範囲の本まで買ってしまう。極端なことを言えば、ほとんど読まないことを前提に本を買っているとさえ言える。

 

 

 

本で床は抜けるのか (中公文庫)

本で床は抜けるのか (中公文庫)

 

 



 

絶滅危惧種ビジネス

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科学の本ではなくて、ジャーナリズムの本だと分かっていても、この手の本は面白く感じてしまう。一気に読んじゃいました。

 

 

絶滅危惧種ビジネス:量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇

絶滅危惧種ビジネス:量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇

 

 

 

 

 

どんどん橋、落ちた

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表紙を見た第一印象は「いやそれロンドン橋じゃなくてタワーブリッジだから」だったけど、読んでみたら全然なんにも関係なかった(褒め言葉)。

 

読んでみて「この叙述トリックは良い叙述トリック」と思った。

 

 

 

 

見る 眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

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自分の興味に完全に合致した内容で、読解に必要な知識も今の自分にマッチしている、という奇跡の一冊。感動的な読書体験でした。

 

以下、覚え書き引用。

 

とりあえず、色には秩序があり、一貫性のあるやり方でものの色のグループ分けができるし、そのグループ分けについてはお互いにほぼ同意できるということにしておこう。同意できない部分についても、見解の相違は素っ頓狂でもなく謎でもない。色覚障害者(遺伝的な理由からたいていは男性だ)は、緑のものと赤のものを同じグループに入れるかもしれないが、おかしいと言ってもその程度である。それ以上にユニークなもの色分けをした人はいない。(p.326)

 

「見解の相違は素っ頓狂でもなく謎でもない」「おかしいと言ってもその程度である」のあたり、素敵な表現。

 

フィンランドの空は英国南部の空よりももっと青い。太陽光が大気を通過する距離が長ければ、波長の短い青い光の散乱が多くなる。(略)フィンランドでは太陽光線は斜めに大気を通ってくるので、空の青さも強烈だ。英国南部だと、太陽光はもっとまっすぐに差す。いちばん通過する大気が短いのは赤道だから、赤道の空は青いというより白っぽい。(p.335)

 

空の色って、感性の問題とは別に、物理的に異なるんだと気付く。落ち着いて考えれば中学生の知識で分かることだけど、この文章を読むまで全く気付いてませんでした。

 

正常な色覚をもっていたネイサンズは、自分の X 染色体にも混乱があるのを発見してびっくりした。彼が予想していたのは赤と緑の二つの受容体の遺伝子が存在することだった。ところが彼には三つあった。この種の脱落や重複は珍しくない。遺伝子と色素はわかりやすい一対一の関係どころではなく、「赤」と「緑」の受容体をコードしようとして、X 染色体のうえに九つの遺伝子が集まっていることもよくある。このために正常な色覚の持ち主でも、緑から赤にかけての中間の波長や長い波長の光の知覚は個人によって非常にばらつきがあると思われる。(p.383)

 

ここまでくると「正常」の定義が難しくなってくる。

 

有袋類は進化して十分に日のあたるニッチで暮らし、二億四〇〇〇万年以上、三色型の色覚を享受してきた。有胎盤類は夜行性のほうのニッチで生きてきた。人間は夜行性の動物の子孫で、優れた暗視能力は(先進国の人々の多くは気づかないままで終わることが多いが、人間の暗視能力は優れている)暗がりで暮らしてきた名残の一つなのだ。そしてもう一つの名残が、相対的に見掛け倒しで不完全な色覚である。(p.390)

 

「相対的に見掛け倒しで不完全な」という表現が素敵。進化は常に発展途上。

 

 

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

新版 クジラの生態

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このところ類人猿(ヒトを含む)の本が多かったので、クジラの本を借りてみた。表紙のロゴにつられて軽い気持ちで手に取ったが、中身は組版も内容も「専門書」だった。たまの専門書も悪くない(疲れるけど)

 

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陸上動物の場合、属や科といった種以上の進化や分化は大陸の分離や移動といった地史的な地理的隔離が主因であり、種未満の亜種や地方個体群の分化は生態的適応や環境選択が原因となっている場合が多い(MacArthur, 1972)。一方、海洋に進出したクジラの場合は、地理的境界もあったが、ほとんどの海洋は連続しており地理的隔離の影響は少なく、種の分化はむしろ浮動的な環境要因と生態的適応、特に餌資源との安定した結びつきへの適応が主因と考えられる。(p.1)

 

海の生き物を扱う進化の本が少ないのは、こういう理由もあるのか。

 

さらに、動物プランクトンとヒゲクジラの間の食物連鎖段階が結果として短く、基礎生産の利用が効率的であることが、南極海でのナガスクジラ類の大型化と繁栄をもたらした。(p.76)

 

食物連鎖段階」が短いと効率が良いのか。なるほど。

 

 

新版クジラの生態

新版クジラの生態

 

 



 

絶滅の人類史

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新書の科学本にありがちな「作者が主張するやや癖のある学説」がなくて安心して読めた。

 

科学的な内容とは別に、作者が言いたいことは、それはそれで分かる気がする。人類が他の種を絶滅させたり、あるいは将来人類が絶滅したりするのは、科学が見出した真理だけど、それは絶望とは違うのだと思う。

 

だが、直立二足歩行は不便で、生きていく上であまりよくない特徴かもしれない。もし便利な特徴なら、いろいろな動物の系統で、直立二足歩行への進化が起きてもよさそうなものだ。空を飛べる能力でさえ、昆虫と翼竜と鳥とコウモリという複数の系統で進化しているのだ。ところが直立二足歩行は、気が遠くなるほど長い進化の歴史を見渡しても、人類でしか進化していない。少し不思議な感じがするが、人類以外に直立二足歩行をする動物はいないのだ。(p.25)

 

たしかに。直立二足歩行は随分と奇妙な生態だ。

 

つい私たちは、進化において「優れたものが勝ち残る」と思ってしまう。でも、実際はそうではなくて、進化では「子供を多く残した方が生き残る」のである。(p.144)

 

わかりやすい。

 

実は石器を作るのはなかなか難しい。木の枝や石を道具として使うチンパンジーにも、石器は作れない。コンピューターを使ってヒトとコミュニケーションは取れるのに、いくら教えても石器は作れないのだ。(p.121)

 

そう言われたら、たしかに「石器」は聞いたことないな。チンパンジーとか、力はあるみたいだから、教えれば石器くらい作りそうなものだけど。

 

どうしてホモ・エレクトゥスは、ハンドアックスなどのアシュール石器を面倒くさがらずに作ったのだろう。よほどいいことがなければ、作る気がしたいだろうに。きっと、アシュール石器を使えば、美味しいものが食べられたのだ。(p.157)

 

美味しいもの。

 

しかし、文化が伝わっていくには、それを受け入れる能力も必要だ。誰かが素晴らしい発明をしても、別の人がその素晴らしさを理解できなければ、発明は広がらない。別の人が「いいなあ」と思わなければ、発明は伝わらない。(p.213)

 

「いいなあ」

 

 

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)

 

 

 

烏に単は似合わない

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名探偵登場!(笑)

 

 

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

 

 

 

男が痴漢になる理由

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‪‪書評やオビの煽り文句からの先入観で、何となく痴漢の生態分析みたいな内容を想像していたのだけど、違った。とても真摯に痴漢をなくそうとする本だった。良書。‬

 

犯罪化しない性依存症はほかにも(略)。不倫や浮気がやめられない人もこれにあたりますが、治療対象にはなりません。(p.48)

 

対象にならないんだ(笑)。

 

では、彼らにとっての真の謝罪や贖罪とは? それは、このようにすればいいという方法論的なものではありません。リスクマネジメントを実行し、絶え間なく行動変容を目指す「今日一日」を積み重ね、年単位で内面を少しずつ変容させていくことだと、私は考えます。(p.211)

 

正直なところを告白すると、わたしは家族の会には大きなやりがいを感じます。加害経験当事者には根強い認知の歪みがあり、内面の変容には長い時間を要し、回復しているかのように見えては膠着状態に陥ることのくり返し、ときには後退する人もいる……というのが典型的ですが、家族は時間とともに着実に変化するからです。(p.258)

 

ところどころに作者の「考え」があって、まるで物語を読んでるような、不思議な気分だった。

 

 

男が痴漢になる理由

男が痴漢になる理由

 

 

 

 

世界で一番美しいサルの図鑑

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生き物って美しいなあ、と素朴に思う。

 

知識よりも写真がメインと思って借りた本だけど、いくつか知らなかった話もあり楽しかった。クモザルには親指がほとんどないこと、肛門が突き出していること、テナガザルには尾がないこと、など。

 

キンシコウ

中国四大奇書のひとつ『西遊記』に登場する孫悟空のモデルだとされていたが、これはある動物園の園長が雑誌のインタビューで語った内容が独り歩きしたというのが実情らしい(現在ではアカゲザルがモデルだとされている)。(p.75)

 

真偽の確認が難しそう。

 

ハヌマンラングール

実はこの尾の上げ方にも、地域変異がある。インドの2つの大きな川、ナルマダ川とクリシュナ川を、境に北タイプと南タイプに分かれ

北タイプの尾は頭の方に向いて曲がり、南タイプの尾は後ろ向きに曲がるのだ。(p.95)

 

これ本当ならかなり興味ある。

 

 

世界で一番美しいサルの図鑑

世界で一番美しいサルの図鑑

 

 

 

 

ヒト ―異端のサルの 1 億年

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‪以前読んだ「親指はなぜ太いのか」と同じ作者。相変わらず大胆な(詰めの甘い感じのする)内容だけど、そういうもんだと割り切ってしまうと楽しく読めた。‬

 

以下いろいろ引用。

 

ゴリラには O 型の血液型はない。O 型はチンパンジーにもオランウータンにも人間にもあるのに、ゴリラにないことは、進化史上ごくごく少数集団になるまで個体数が減ってしまった厳しい時期、ボトルネックと呼ばれる遺伝的に狭い通路を通ったことを示す証拠と考えられている。(p.66)

 

ゴリラ雑学。

 

‪だが、その姿は決して優美なものではない。たくましい体に美しい毛をまとって平原をまっすぐに立って歩くホモ・エレクトゥスたちに比べれば、水辺で潜り、魚を捕り、貝をむさぼる、頭から長い毛をたらした、全身真っ黒の裸の二足歩行する類人猿は、悪夢の中なら生まれた妖怪と形容したほうがいいだろう。私たち現代人の出現は、そういうものだっただろう。(p.190)

 

こういう「科学的でない」表現がときどき挟まってるので、「似非科学なのか?」と不安になる。

 

最初の出アフリカに失敗したホモ・サピエンスは、一〇万年前にはすでに、紅海でカキやその他の貝類、甲殻類などを漁っていたが、ここでは、大型のシャコガイホモ・サピエンスの到着直後にいなくなっており、ホモ・サピエンスの特徴であるオーバー・キル(資源の回復不能なまでの利用)が起こっていた。この資源利用方式もまた、ホモ・サピエンスがきりもなく、その生息地を拡大しなくてはならない理由だった。(p.202)

 

人類の特性としての自然破壊。

 

こうしてホモ・サピエンスは、長い子ども時代に遊びの中からはぐくまれた創意工夫と、爆発する人口を背景にした若者世代の破壊力と壮年時代の技術開発力、老年世代による知識伝達によって二万四〇〇〇年前から一万三〇〇〇年前までつづく「全面的氷河」の時代を乗り切っていく(p.203)

 

文字(文字の記録媒体)のない世界では、「老年」であることが世代を超えた知識伝達の手段なのだな、と納得。

 

ホモ・サピエンスが出現して以来のこの二〇万年は、種の生存期間としてはいかにも短いが、同じ時間の間に、アルディピテクスが絶滅してアウストラロピテクスが生まれたことを見ても、この時間は次の種を生み出すために十分な時間である。(p.253)

 

 なるほど。

 

 

 

 

 

 

ヒト―異端のサルの1億年 (中公新書)
 

 

 

イルカ 生態、六感、人との関わり

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全体的に、科学書というよりは一般向けの読み易い内容なのに、ところどころでコアな知見がさらりと書かれていて、あざとい(褒め言葉)本でした。

 

イルカの耳は眼の後方にある小さな穴のようなものである。しかしこの耳は外耳道に耳垢が詰まっているので、ここから音が伝わっているとは考えにくい。(p.51)

 

色覚については昔から多くの実験が行われてきたが、「この色がわかる」といった決定的な成果は挙がっておらず、最近ではみな色覚の有無を突き止めることはあきらめてしまったように見える。(p.54)

 

イルカを研究するスタイルについても、その違いは歴然である。

かつては、洗いざらしのシャツに長靴に胴長という姿で、男も女も関係なく、泥だらけ汗だらけ、時には血だらけになって、髪振り乱しながらイルカを「とっつかまえて」研究材料にしていた。(p.109)

 

 第1章で説明したように、イルカはもともとは陸棲の動物であったものが、海の生活へと移行した。そのとき、水中で暮らすうえでは何かと邪魔な四肢を失った。もし彼らに四肢があったら、「叩く」「揺する」「蹴る」など、もっと別な意思表示やコミュニケーションの方法があったかもしれない。

また、イルカは水棲生活への移行にともなって体毛を失った。怒ったときに逆立てる毛をなくしたことになる。こうしたからだの変化の結果、彼らは音や視覚の感覚を研ぎ澄まし、それらに依存したコミュニケーション手段を発達させた。(p.168)

 

 

イルカ―生態、六感、人との関わり (中公新書)

イルカ―生態、六感、人との関わり (中公新書)