ジョブ型雇用社会とは何か

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会社が「〇〇式ジョブ型云々」みたいなことを言い出したので、仕方ない勉強するかと購入。ジョブ型礼讃の書だったらどうしようかと構えて読み始めたけど、杞憂だった。どちらかと言うと現状解説の本で、著者の主張は少なめ。今の自分に丁度良い。

 

以下、備忘録的引用。

 

(略)それができていれば、そのジョブにあらかじめ定められた価格(賃金)が支払われます。これがジョブ型の大原則であって、そもそも普通のジョブに成果主義などはなじみません。例外的に、経営層に近いハイエンドのジョブになれば、ジョブディスクリプションが広範かつ曖昧であって、できているかできていないかの二分法では足らず、その成果を事細かに評価されるようになります。(p.7)

 

ですから、この日本型成果主義は、ジョブ型社会のハイエンド労働者層に適用される成果給とは異なり、成果を測る物差しとなるべき職務が何ら明確でなく、「上司との相談で設定」という名の下で事実上あてがわれた恣意的な目標でもって、成果が上がっていないから賃金を引き下げるという理屈付けに使われただけだったと言えます。(略)労働者側における納得性が失われてしまい、結果としてモラールの低下につながったという評価が妥当でしょう。(p.154)

 

ところが職務の明確化が進んでいるわけでもなく、職務構造は曖昧なままで、自己中心的なナルシス型が「それは私の仕事じゃない」と言い出すと、実際の職場は回らなくなるため、気配りの利く人ほどそこを抱え込むことになり、へとへとになって、しまいには鬱病になって自殺にまで追い込まれるというわけです。(p.243)

 

「へとへと」が良い。