分量的にはほとんどが戦争・政治の話で、書物の話は少しだけだったけど、それでもやはり印象に残った。それはたぶん私の経験のせいで、本は持ってるけど、戦争は知らないからだと思う。
本は積んで、しまっておき、必要なときに使ったり読んだりするものである。売るものではないのだ。売るときのみじめな気持ちは、本当に情けないものである。わたしの心の傷は癒えないままだ。(p.62)
この本、2018 年の印刷で、とても綺麗な製本だけど、中身の組版は当時のままで、組版好きとしてはちょっと嬉しい。括弧内の小振りの文字を右のラインで揃えているところとか。
当時の組版は、「美しさ・読みやすさ」と「組版の作業効率」とのバランスの上で成り立っていたんだろうな。と考えながら組まれた版面を眺めるのは、本当に楽しい。
最近の組版は、計算機が処理するようになったので、とにかく「美しく・読みやすく」なった。一方で、眺めただけでは「組版の作業効率」の部分が分かりにくい。組版を楽しむには、ある程度は自動組版や DTP 等の知識が必要で、「敷居が高くなってしまったな」と思う日もある。