ことばと遊び、言葉を学ぶ

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柳瀬尚紀という人について「フィネガンズ・ウェイクを翻訳したすごい人」としか知らなかったのだけど、たしかにすごい人だと確信した。でも、あまりに素晴らしすぎて、翻訳の一行ごとに1ページくらいの解説がないと、私には理解できないと思う(つまり、フィネガンズ・ウェイクは読まないと思う)。

 

フィネガンズ・ウェイクはともかく、この本は「翻訳」ではないので、解説なしでも楽しく読めた。とても良い本。

 

一方で、いわゆる教育漢字・当用漢字・常用漢字については、当時の政府だけを悪者よばわりしていて、「こんなすごい人でも浅はかな理解で断言しちゃうことはあるんだな」と、ちょっと悲しい気持ちになった。

 

政府というか文部省というか、今でいう文部科学省、あるいは国語審議会……ぼくはそういうお役所や組織についてよく知りませんが、要するに漢字のことをてんでわかっちゃいない人たちの集りが(以下略)(p.23)


よく知らないという自覚があるなら、こういう本には書かないで欲しい。