- 作者: 石川九楊
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2013/02/02
- メディア: 新書
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フェアじゃない本は読むのがしんどい。たとえば、日本語の長所ばかりで短所は書かない、他言語はその逆とか。散りばめられたトピックもやや偏っている感あり。「日本の女性がえらかったということではなく(p.100)」とか断言してるのも嫌だ。
でも以下は納得。当たり前と言えばそうだけど今まで意識したことがなかった。頑張って読んで良かった。
それに加えて、文字を書いているときには、もうちょっといい字を書きたいとか、なぜ自分はこう字が下手くそなのだろう、もっと整った字がなぜ書けないのだろう、などと思うものです。つまり、そこには書字に伴う美意識があり、自省があります。(p.121)
あと、以下で、あえて「定年退職した」と明示するようなセンスはとても好きです(笑)。
それに付随して思い出すのは、近年のテレビ報道番組での目に余る「誤字お詫び」です。(略)関係者が本気でそう考えているなら、現在すでに巨大教育機関としても機能している以上、出版社や新聞社を定年退職した校正者を大量採用して、誤字の追放に取り組むべきでしょう。(p.118)
タイトルに「縦書き」を掲げているが大半は「日本語」の話で、ちょっと物足りない。
作者は横書きを悪と捉えているが、いっそのこと、縦書き横書きの両方を手に入れた、と捉えてよいのでは。世界でも日本語だけが持つ特別な長所だと。漢字、平仮名、片仮名を混用するのを長所と捉えるなら、横書きだって飲み込んでよいと思う。