妖精作戦

妖精作戦 (創元SF文庫)

妖精作戦 (創元SF文庫)

なんと 27 年も前の本で、しかもこの作家のデビュー作だったとは。山場の連続で逆に全体が平野に見えるような不思議なテンション。導入部のかろうじてリアルな高校生活に続き、軍事関係のそれでもまだ現実とつながっているマニアックな知識が披露され、気付くといつの間にか荒唐無稽なドタバタ SF になっている。その文章技術を評価すべきなのか、それとも素直に「そんな馬鹿な物語にしなくても」と突き放すべきなのか。

たぶんラノベの歴史を語る上では避けて通ることのできない作品だと思う。現代のラノベには、良くも悪くも「惰性」や「商業主義」の部分が多くあるが、この時代のこの作品を考えると状況は全く異なる。まあでもラノベの歴史を語るつもりはあんまりないのですが。