やっとこさ読み終えた。論文が終わるたびに全く別の文章が始まるので、文章に慣れることがないまま 700 ページ近いボリュームはしんどかった。
特に楽しかったのは下記の三編。
掃除と掃除用具の人類史
裏アカシック・レコード
解説——最後のレナディアン語通訳
柱に長体がかかってて楽しい。
やっとこさ読み終えた。論文が終わるたびに全く別の文章が始まるので、文章に慣れることがないまま 700 ページ近いボリュームはしんどかった。
特に楽しかったのは下記の三編。
掃除と掃除用具の人類史
裏アカシック・レコード
解説——最後のレナディアン語通訳
柱に長体がかかってて楽しい。
映画みたいな小説でした。いま改めて表紙を見て「もしかしてこの鳥があの鳥なのか」と驚いています。
現代の寓話なのか、恋愛小説なのか、人生論なのか、ミステリーかホラーか、いろいろ振り回されながら読み進む。最後は然るべきところに落ち着いた。という印象。
積んである本がどれも読めなくなって(たぶん精神が疲れていて)「とにかく読める本を、読みたくなる本を」と祈りながら買った。読めた。本を読める幸せ。
「ゲイルズバーグ、春」で少し泣いた。「神様の誤送信」につながっていく感じも好き。
「カイメン礁」に感動。
平易な文章で容赦なく専門的なトピックを紹介していく姿勢が素敵。有櫛動物、DNA 分子系統解析、真社会性動物、行動継承、溶存態有機物、深海底の化学合成生態系などなど、裾野が広い。良書。
不思議な文章読本だった。とても興味深い内容だったけど、文才のない小市民としては戸惑うことのほうが多かった。
以下のところは恐怖を感じた。正直なところ、「スケールの競争」に個人で勝負できるのは、能力を持った少数の人間だけだと思う。小さな個人としてはとてもしんどい。
ですが、今は少しだけ危機感を覚えています。多くの書き手が王道を歩む「良いニュース」を出していかない限り、あっという間にスケールの競争に飲み込まれてしまい、ニュースは劣化していきます。(p.248)
読後一週間。ニュースの受け取りかたが大きく変わった。
送り手の意図を意識するだけで世界の見えかたが変わるのは、心地よくもあり、微かな恐怖も感じる。ニュースの威力。
改めて、良い本でした。
階層構造のおかげで世界の整合性は守られたけど、そのぶん物語が弱くなった気がして、ちょっと寂しかった。
最初からポップな物語のつもりでいたら、もっと楽しめたのかもしれない。