四色問題

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最終 11 章で突然、コンピュータを用いた証明を認めるかどうか(大量の組み合わせを扱うため人間の目で全パターンを確認するのが事実上不可能なタイプの証明を認めるかどうか)というメタ議論になり、一気に楽しくなった。くじけず最後まで読んで良かった。

 

証明の中のコンピュータを用いた部分を受け入れるかどうかは、年齢にも関係があるように思われた。ハーケンの息子のアルミンは(中略)講義を行ったが、最終的に聴衆は二つのグループに分かれたという。すなわち、四十歳以上の人々は、コンピュータによる証明の正しさを確信できず、四十歳以下の人々は、七〇〇ページにおよぶ手計算を含む証明の正しさを確信できなかったのである。(p.329)

 

ケン・アッペル自身も、この点に関しては自分の証明を弁護しようとしなかった。

 

これはひどい数学だ。数学は、簡潔でエレガントであるべきなのに」と言う人がいた。わたしもそれには同感だ。簡潔でエレガントな証明ができれば、それにこしたことはなかった。(p.340)

 

最も劇的な例は、数学科長が指導する大学院生との面会を禁じられたことだった。それは、以下のような理由からだった。

 

問題は、まったく不適切な方法で解かれてしまった。今後、一流の数学者がこの問題に関わることはないだろう。たとえ適切な方法で問題を解けたとしても、これを解いた最初の人間になることはできないからだ。まともな証明が得られる日は、無期限に遠ざかってしまった。誰もが納得できる証明には一流の数学者が必要だったのに、今やそれは不可能になってしまったのだ。(p.342)

 

 

四色問題 (新潮文庫)

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