このところ類人猿(ヒトを含む)の本が多かったので、クジラの本を借りてみた。表紙のロゴにつられて軽い気持ちで手に取ったが、中身は組版も内容も「専門書」だった。たまの専門書も悪くない(疲れるけど)
陸上動物の場合、属や科といった種以上の進化や分化は大陸の分離や移動といった地史的な地理的隔離が主因であり、種未満の亜種や地方個体群の分化は生態的適応や環境選択が原因となっている場合が多い(MacArthur, 1972)。一方、海洋に進出したクジラの場合は、地理的境界もあったが、ほとんどの海洋は連続しており地理的隔離の影響は少なく、種の分化はむしろ浮動的な環境要因と生態的適応、特に餌資源との安定した結びつきへの適応が主因と考えられる。(p.1)
海の生き物を扱う進化の本が少ないのは、こういう理由もあるのか。
さらに、動物プランクトンとヒゲクジラの間の食物連鎖段階が結果として短く、基礎生産の利用が効率的であることが、南極海でのナガスクジラ類の大型化と繁栄をもたらした。(p.76)
「食物連鎖段階」が短いと効率が良いのか。なるほど。