社会脳とは何か

社会脳とは何か (新潮新書)

社会脳とは何か (新潮新書)

素直に面白かった。そうか、「能力」以外に、それが「自発的」であること(無意識に発動されること)も重要になってくるのか。以下、覚書的に引用。

強化学習や統計学学習と呼ばれる、自然界に広く見られる学習方法は、似たような現象を繰り返し経験し、そこから一貫した関係性を学習するようにできています。このような学習法は時間がかかる一方、繰り返し起こる関係性(例えば、おもちゃのがらがらを振ったら音が出る)と、あるときに偶然起こっても、繰り返されることのない関係性(例えば、おもちゃのがらがらを振ったとき、たまたま近くにいた大人があくびをする)とを区別して、前者だけを学習することが可能です。
ところが、自然教授法に基づいた学習では、赤ちゃんは繰り返し無しにすぐに知識を学習し、それを常に起こる一般的なものとして認識してしまいます。(p.174)

2009 年に Science 誌上で報告されたこの研究成果は、自閉症者における社会脳の障害がどのようなメカニズムに基づいているかについて考えるうえで、明確な教示の下で課題を解く“能力”と、はっきりした課題が定義されていない場面で同じ課題を“自発的”に解く傾向の乖離という新しい観点を明確に示した研究でした。(p.208)

さらに、アカアシガメというリクガメの一種があくびの伝播を見せるかを研究し、「カメにはあくびがうつらない」という結論を導き出した研究は、2011 ね、「最初に聞くと笑ってしまうが、その後考えさせられる」研究に贈られる、イグノーベル賞を受賞しています。(p.210)