ジョン平とぼくと

ジョン平とぼくと (GA文庫)

ジョン平とぼくと (GA文庫)

ファンタジー世界を科学的論理的な視点で語ってて、その組み合わせが面白い。どちらかというと、文学的な表現よりも理詰めの表現に感動しがちであることに気付く。

「(略)我々は魔法によって、(略)どの世界に進むかを選びとっている、と言えるでしょう。そしてその選択の力となるものは、少数の魔法使いによる強力な魔法、ではない」
先生は教卓から身を乗り出して、クラスを見回した。クラスはしんとして、先生の話を聞いていた。
「どこにでもいる、普通の人々が、普通に生活し、世界がこうなれば、と祈る、まさにその方向に世界は進んで行くのだ。(略)」(p.89)

普通の人々への着眼が嬉しい。

ぼくは椅子から立ち上がった姿勢のまま、ほんのわずかな間だけ逡巡した。しかし、結局は「迷ったときは正直ベース」という格言を思い出して、そっちが勝った。(p.111)

この格言も素敵です。覚えておこう。

「そんなことはない」
また、言わないほうがいいことを言っちゃったかな、と思ったが、
「馬鹿になんて、してないよ」
「いや、してる。お前は馬鹿にしてかかっているんだ」
ぼくは、何がわかる、と思った。(p.118)

この部分、泣きそうになった。よくあります。何がわかる、ってよく思います。