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心の病 回復への道

いつかもう一度 図書館の本

心の病 回復への道 (岩波新書)

心の病 回復への道 (岩波新書)

とても誠実な文章で驚く。軽い気持ちでただの実用書と思って選んだけど、一生ものの本に出会えたのかもしれない。内容とは別に、作者の思いを読むために、もう一度読んで見たい。

(略)「働くことを愛すること」という人生の目標を(略)(p.vii)

いきなり人生の目標を定義していて、それがちょうど今の悩みに重なっていて、心持ってかれた。

この診療報酬点数は、手術や薬物療法など目に見える技術には高くつけられるのに比して、一生の物語を聞き、自殺したい気持ちを探り、ときに罵倒され、周囲の関係者に会い、生活全般に助言するという、精神科本来の医療活動に対しては実に低く抑えられているのです。(p.76)

罵倒されることが精神科本来の仕事に含まれている(笑)。

どんな人格者であっても、おおよそ清酒換算二合を二十年間飲み続ければ身体依存が成立するのですが(略)。(p.88)

知らなかった。アルコール恐るべし。

障害年金の計算なども現場が行いますが、犬を飼うために週一〇ポンド(約二〇〇〇円)が計上されて許されることには驚きました。人間的な生活といっても基準はこれほど異なります。(p.170)

イギリスの話。動物と過ごせるなら、嬉しい。

さらに、小中高の教員は職場のメンタルヘルス上、きわめてハイリスクな集団として注目されています。業務の負担が質量ともに多いこと、しかも、上から下から、生徒や家族から、さまざまに責任をつめよられます。しかも、児童生徒の精神疾患はほぼ全学級で出現します。担任一人での処理能力は限界を越えているようです。(p.197)

たしかに。先生だと思って何でも期待しすぎないようにしなくちゃ。

(略)一定額を越えると収入認定されて保護費が減額されてしまいます。せっかく働いているのに収入がさほど変わらないのには首をかしげてしまいますが、働くほうが元気になるので辞めようとは思っていません。(p.203)

「働くほうが元気になる」というのは、もしかすると人間の本質に関わっているのではないかと(そうならいいなと)思った。

ところで、集団スポーツを体験した方は身をもって知っているのですが、どんなすばらしい人材をそろえても、最終的な決着はチームワークで決まるし、チームワークを向上させるために必要なのは練習をくりかえすことだという事実です。(p.206)

仕事も同じなんだよなあ、と悩みごと思い出してしまう。

研修医のころ、がんじがらめでとても変わりそうもない精神医療の状況でしたが、いつの間にか、ずいぶん様変わりをしています。(略)
使命感を抱きつつも、ひどく戸惑った研修医のころに比べると、とても遠くまで来たように思えます。でも、すぐ近くの精神科病院は一九六〇年代とほとんど変わっていないことも事実です。川の流れのように、流心と岸辺では違った様相が見えるのかもしれません。(p.215)

変わっていくような、ちっとも変わらないような、時代ってそうだよなぁ、と共感。文字組版も漢字も、この百年で随分変わってしまったけど、それで日々の生活がどうなったというと、正直よく分からない(特に文字組版)。