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学問と「世間」

図書館の本

学問と「世間」 (岩波新書)

学問と「世間」 (岩波新書)

人文社会科学ってこんなのでいいのか?、これじゃあまるで「言いくるめた者が勝ち」ではないか?、と感じてしまったのは素人考えと思いたい。人文系って今まで何も勉強してないからなあ。

たとえば最近の警察の不祥事の例を見ればよいだろう。ある不手際が生じた際に一人の上司がそれを隠蔽しようとし、部下がその隠蔽作業に協力することから始まることが多い。そこで発動されるのは仲間内の意識であり、「近代化」が標榜するような「人権」でもなければ、平等でもない。組織を無事に維持しようとする意識であり、理念を捨てても仲間内の結束を守ろうとする意識である。このような例はいくらでも挙げることができる。(p.98)

「『空気』の研究」と同じ内容で驚いた。

(略)教養ある人に求められているものは何か。
それは直接に付き合える限りの人と人とのつながりを平和に維持することである。争いを避け、一人一人がおのれの寿命を全うし得るような一生を送れるように配慮することである。現在よりも将来の方が少なくともより平和に暮らせるような希望を与え続けることができる人を、そこでは教養ある人と呼ぶであろう。(p.125)

さすがにそれは「教養」の語義の範囲を超越してるだろうと思うが、用語はともかく、その考えかたは非常に魅力的で素晴らしいと思う。なるほど、こういう考えかたが生活や国家のありかたを変えていくのか。こういうのを考えるのが人文社会科学なのか。

このような知識人のあり方を一般の人は信じていない。国立大学の独立行政法人化政策に対して一般の人々が関心を寄せないのにはそのような理由もある。(p.158)

痛烈。「信じていない」の意味が、単に嘘をつかないのレベルを超えて、深い。

生涯学習の中での釣りは、たとえばこれらの技術を教えながら、同時に釣りの歴史も学ぶことになる。ルアーの歴史はローマ時代に遡るし、農民戦争当時は妊婦のために釣りの権利を要求した農民と領主が対立して農民戦争の発端となっている。(p.163)

明らかに飛躍してるように思うが、妊婦の釣る権利には興味あり。本当なのかなあ。

以下は孫引き。一橋大学のホームページの引用らしい。よい方針だ。

1 問題に焦点を当てること(issue-oriented)
 (略)
2 現実的な解決を思考すること(solution-oriented)
 (略)
3 西欧中心の思想から脱却すること(de-Eurocentricism)
 (略)(p.165)