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完全なる首長竜の日

自分の本

完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

この部分、真実だなあ、と思った。切ない。

そういえば、浩市を名乗っていた中野由多加くんは、私の意識の中での相原との会話で、こう言っていた。
人の死とは、その人を覚えている人が誰もいなくなった時に完成するのだと。
岬という女の子を知っているのは、この世で私一人だけだ。
だから、私が生きている限り、岬の魂は、いつも私とともにある。

私の場合、意識と現実とが混濁する物語を読むときは、ついつい「ここまでは現実、これは意識側かも、これは完全に意識世界」と仕分けしながら読んでしまうわけだけど(これは作業としては結構労力がかかるのだけど)、ラストで「結局全部意識世界でした」と言われるとちょっとショックだったりする。うまく言えないけど、作者に裏切られたような気がしてしまう。「夢オチかよ」という突っ込みに似た感情。

でも、そういう個人的感想を超越して、物語のテーマはとても好きだ。夢オチなのに共感できた物語というのは、もしかしたら初めてかもしれない。

表紙デザインが、もう開き直っていると断定してよいほどに、帯を意識しているのが微笑ましい。