怪談 男と女の物語はいつも怖い

怪談―男と女の物語はいつも怖い (文春文庫)

怪談―男と女の物語はいつも怖い (文春文庫)

思ったより怖くなかったのは残念だったけど、怖いと感じる心の動きがさらりと書かれていて面白かった。「ウェイティング・バー」から引用。

「(略)あのね、あなたはひとまわりも若い女を選んだことで、私たちを裏切ったのよ」
「裏切った。すごい言葉だなあ」
「あなたと一緒に青春を生きた女たち。たとえば私よ。(略)」

自分の側を「私たち」と複数形にして多数派を装う女性も怖いし、それをそれなりに受け止めようとする男性も、ちょっとだけ怖い。