- 作者: 葉山嘉樹
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 文庫
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古い本なのにちっとも古い気がしない。ひとつは文章が優れているのと、ひとつはやはり活字が新しいからだろう。古い活字で読みたかったとちょっとだけ思う。
これは小説だけど現代でいうドキュメンタリーの役割を果たしていたのだろうと感じた。知らない人には実態を伝え、実態を知ってる人には共感を与える。
面白かったのは表題作の「セメント樽の中の手紙」だけど、心にしみたのは「氷雨」の、気力が枯渇して今夜の米がなくなっても何ひとつできない父親と、その父親の手をそれでも引こうとする子ら。