ダーウィンと出会った夏

ダーウィンと出会った夏

ダーウィンと出会った夏

図書館の子供向けの書棚に面白そうなのを見つけたので借りてみた。実際面白かった。

おおむね科学を目指す物語なのだけど、それを妨げる非科学的なトピックが丁寧に書かれているところが素晴らしい。科学に導いてくれた祖父がにギリギリのところで助けてくれなかったり、科学を理解しない父母や使用人に嫌悪感を抱きつつ人間関係を築いたり、兄弟との交流はまったく科学的ではないがお互いにそれを必要としていたり、女性科学者を目指す主人公を現実論として認めようとしない(認めることができない)時代や土地柄だったり、そういった暗い影が丁寧に丁寧に積み重ねられていく。ときどき泣きそうになる。ああ社会ってこんなんだ、それでもあきらめちゃいけないんだ。

じじいになってから再読したい。