晩年

晩年 (角川文庫)

晩年 (角川文庫)

ひと月ほど前に読んだ「人間失格」が頭に残っていて、そういう文章を「前提」にしてしまったせいか、まったく物語が頭に入ってこない。物語を理解できない自分にちょっと驚いた。確かに同じ作者の同じ癖の文章だとわかる。テーマも通じていると思う。でも全然異質だ。何が違うのだろう。わからないことってまだまだたくさんある。

新字新仮名だったが「時代」を感じられた*1。やはり書体や組版は無視できないと思う。加えて文字や言葉の選びかたの影響もあると感じた。たとえば「ペエジ」とか「レコオド」とかの字の使いかた、「ロマンス」とか自信満々に書かれていたりするところ。書法だけ真似ても体裁だけ真似ても駄目なのだろう。

*1:読んだのは昭和二十八年初版、平成六年改版四十一刷のもの。今買うと別の組版になってるかも。