綺譚集

綺譚集 (創元推理文庫)

綺譚集 (創元推理文庫)

創元社推理文庫だったので、ホラーっぽいミステリーか、ミステリーっぽいホラーか、そのあたりと思って借りたのだけど、ぜんぜん違っていた。こういうのをコスト関係なく試せるのも図書館の魅力のうち。

美しい文章への感銘と、グロテスクな内容への嫌悪感との葛藤のなかで、結局最後まで読み切った。良い本なのだと結論するが自分は嫌だなあ。

内容はともかく表現について、旧字旧仮名の「赤假面傳」が興味深かった。旧字旧仮名で書かれた「赤假面傳」だけど、実はまったく時代感覚を感じることができなかった。新字新仮名の「人間失格」では当時の時代感覚を強く感じたのに。他にも旧字旧仮名の文章を読んだことはあるが、おそらく作者のせいではないと思う。どちらかというと書体や組版の問題ではないかと感じる。理屈はともかく旧字旧仮名は好きなので、その意味では読んでて楽しかった。