自分の本

猫弁と幽霊屋敷

散りばめたエピソードが終盤に次々とより合わさって心地よい。大円団っぽいのにちっとも結婚しそうにないのが良い。 引用。そうだよなあ大人にならなきゃなあ、と遠い目。 百瀬は思う。子供の嘘や隠しごとは成長の証だ。自分の身を守ったり、時には他を守る…

全裸刑事チャーリー

いいぞもっとやれ。 全裸刑事チャーリー (宝島社文庫) 作者:七尾与史 宝島社 Amazon

「若者の読書離れ」というウソ

統計数字を読む本ではなかったけど、それはそれで面白かった。 ルビについて引用。賛成。 これは余談だが、筆者は『星のカービィ』や『銭天堂』に対する中学生の需要の大きさ、あるいは本書で取り上げている「中高生に読まれている本」の並びを見ると、大人…

友だち幻想

手掛かりがたくさんある。良書。最後に急に説教臭くなるのは何か意図があるのかな。 人生の「苦味」「うま味」のところが良かった。 これを私は人生の「苦味」とよんでいます。(略) 苦味というものをどうしても噛みしめざるをえないのが大人の世界なのです…

星を継ぐもの

読みながら「科学小説だ、科学小説だ」と小躍り。科学は楽しい。 多くの SF が、科学を「設定」や「ツール」として使っているのに対して、「星を継ぐもの」は「科学のプロセス」そのものを物語に仕立て上げている。危機や友情がなくても、科学はそれ自体が面…

52 ヘルツのクジラたち

表紙とタイトルを信じて購入。知らないタイプの演出で戸惑う。それでも物語には引き込まれた。「感動の押し売りかも」と思いつつ、そこは素直に感動させてもらって、ちょっと泣いた。 52ヘルツのクジラたち【特典付き】 (中公文庫) 作者:町田そのこ 中央公論…

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

勉強になったのはもちろんなのですが、それ以上に、とにかく面白かった。一気に読んでしまった。良書。 下記引用。専門家の覚悟を格好よく思うと同時に、本当に「専門家による啓蒙活動にはやはり限界がある」のだとしたら、このような本を読んでしまった我々…

家族じまい

家族のかたちが見えかけた気がして、でも、すぐに見失ってしまう。人生ってそういうものなのかなあ、やっぱり。 事情の許す人間が、事情の範囲内で動けばいいことなのだ。(p.296) 家族じまい (集英社文庫) 作者:桜木紫乃 集英社 Amazon

言語の本質

オノマトペで言語のかなりの部分を語ってしまっていてすごい。 対称性推論(論理的に正しくない)が言語習得に深く関わっていると知る。確度の低い推論が、自然淘汰で最終的に優位になるのだとしたら、ちょっと興味深い。 以下、対称性推論のところを引用。…

緋色の記憶

一気に読んだ。「問われなかったので言わなかった」という種類の、しんどい罪。 緋色の記憶〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:トマス H クック 早川書房 Amazon

この本を盗む者は

アニメ映画のよう。ファンタジー仕立てなので読み流してしまったけど、思い返すと、要所要所で残酷なエピソードが未解決のままになってて、つらい。 この本を盗む者は (角川文庫) 作者:深緑 野分 KADOKAWA Amazon

まりも日記

軽妙で程よいイヤミス。よかった。 まりも日記 (講談社文庫) 作者:真梨 幸子 講談社 Amazon

持続可能な魂の利用

「おじさん」側なので、ひとつずつ確認しながら噛みしめながら読む。思ったよりも SF だった。未来が少し良くなりますように。 持続可能な魂の利用 (中公文庫) 作者:松田青子 中央公論新社 Amazon

海うそ

最後に突然五十年が過ぎて驚いた。過ぎた五十年のことも含めて、実家にいた頃の「田舎の暮らし」が思い出されて、良い読後感でした。 海うそ (岩波現代文庫) 作者:梨木 香歩 岩波書店 Amazon

土偶を読むを読む

メインコンテンツの「検証 土偶を読む」の文章が、人を馬鹿にしていて、それだけがしんどかった。それ以外の部分は、章立ても内容も、素晴らしく良い内容でした。 「おわりに」から引用。格好いい 入り口がオカルトだとしてもより深くより楽しく知りたい人は…

18 歳の著作権入門

①著作権は変化し得ること、②著作権は利害のバランスで決まること、を踏まえた構成で、納得。「進化論」に似た面白さがあると気付く。 18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書) 作者:福井 健策 筑摩書房 Amazon

君は医者になれない 膠原病内科医・漆原光莉と血嫌い医学生

久しぶりにラノベを読んだら体力の消耗が激しい。負けないように読書力を強化しなくては。主人公の人生を応援します。 君は医者になれない 膠原病内科医・漆原光莉と血嫌い医学生 (メディアワークス文庫) 作者:午鳥志季 KADOKAWA Amazon

俳句とあそぶ法

実はエッセイだと思って読んでた。楽しかった。入門書だったとは。 俳句とあそぶ法 (中公文庫) 作者:江國滋 中央公論新社 Amazon

恋文の技術

題名が感傷的なので「いつもと違う森見登美彦が読めるかも」と買ってみたら、見事に森見登美彦だった。わはは。 散りばめた小さな事件たちが最後の手紙で集約されていくのが心地よかった。ちょっと泣きかけた。 恋文の技術 (ポプラ文庫) 作者:森見登美彦 ポ…

20 週俳句入門

まずは一度通読。俳句という文化の独特の「構造」を知り、驚きつつ納得。良い本と出会えた。一週目から実践しようと思う(20 週で終われる気がしないけど、まあ、ぼちぼち)。 20週俳句入門 (角川ソフィア文庫) 作者:藤田 湘子 KADOKAWA Amazon

ささら さや

急に「加納朋子が読みたい」となって、買った。 普通のミステリーは事件を解決して終わるけど、この作者は「解決後に関係者みんなが実は悪党じゃないと分かってホッとする」まで謎解きが続く。 また何年か後に「加納朋子成分」を補給したくなるんだと思う。 …

ダリア・ミッチェル博士の発見と異変

人類滅亡か、存続か、の二択ではなく「酷い状況だけどそれなりに続いていく」感じに共感。世界はままならない。面白かった。 ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 (竹書房文庫) 作者:キース・トーマス 竹書房 Amazon

自律神経の科学

教科書のような安心感。勉強になった。良書。 ‪心に残った文を引用。「蓄尿」。‬ ‪膀胱に尿が溜まっていく過程を蓄尿といいます。(p.172)‬ 自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか (ブルーバックス) 作者:鈴木郁子 講談社 Amazon

その可能性はすでに考えた

本格ミステリーと派手な演出と感傷的な物語が共存できるなんて。楽しかった。 その可能性はすでに考えた (講談社文庫) 作者:井上真偽 講談社 Amazon

しびれる短歌

解説付きで読む短歌は良いなあ(解説なしだと「分からない/分かっても不安」で楽しめないのです)。 しびれる短歌 (ちくまプリマー新書) 作者:直子, 東,弘, 穂村 筑摩書房 Amazon

スキマワラシ

前に読んだ恩田陸と印象が違って戸惑う。 途中で「もしかしてこれ連載?」と思い巻末の初出を確認したら新聞連載だった。なるほど、と納得した(納得したからといって何も変わらないんだけど)。 スキマワラシ (集英社文庫) 作者:恩田 陸 集英社 Amazon

カラスは飼えるか

良い雑学でした(雑学大好き)。 カラスは飼えるか(新潮文庫) 作者:松原始 新潮社 Amazon

たったひとつの冴えたやりかた

表題作が良かった。ちゃんと前向きに生きたのに、その先に絶望しかなくて、それでもその絶望に対しても前向きに取り組む物語。アルジャーノンを思い出した。 たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF) 作者:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 早川書…

母親になって後悔してる

「母親」について理解を深めると同時に、社会問題、社会構造、社会学についてのイメージをつかむことができた(ような気がする)。何年かしてから読み直したい。 これを念頭に置くと、「なぜ母になった後悔について話すのか」という質問は、裏返して考える必…

犬はどこだ

物語がひっくり返ってからの絶望感と、謎が解決したのに(したからこそ?)残る後味の悪さ(褒め言葉)。続編があるみたいな装丁なので、期待。 犬はどこだ 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon