なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか

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タイトルが原著と違うのが気になる。最後の第 11 章に大事なことがギュウギュウに詰め込まれていて油断してると誤読しそう。最後の一文が「6 度目の大発生だ」で、格好いいけど、これは格好つけすぎだな、と思った。

 

犬の品種改良のシステムについては、たしかにそのとおり、と思った。

 

1970 年から現在までの、ブルドッグがしだいにずんぐりした体つきになる様子。現代の育種家たちは、品種の仕様にもっともよく合うものから子犬を得ようとする。イギリス・ケンネルクラブの 2010 年の「犬種標準」は(略)。育種家たちはずいぶんうまくやってきたが、なぜ犬にそんな姿になってほしいのか私には理解できない。(p.203)

 

 

なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか

なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか

 

 

 

世界でいちばん働きがいのある会社

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なんだか「ビジネスのプレゼン」を聴いてるみたいな不思議な文章だった。書いてあることを丸ごと信用できる気もしないけど、働きがいのために何かすべきだな、と思えてきた。

 

 

世界でいちばん働きがいのある会社

世界でいちばん働きがいのある会社

 

 



絶滅できない動物たち

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ストレスでヤケになって買ってしまった本。実際にストレス解消できたので、ラッキーな選択だった。

 

「絶滅」「自然保護」の本だけど、どちらかというと「進化」「種の定義」の話として読んでしまった。科学の本ではなくてジャーナリズムの本だけど、かまわず読んだ。次々と現れる問題提起がスリリングで楽しかった。

 

結論が「謙虚」だったので、なんだか微笑ましいような、不思議な気分になった。

 

絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

 

 

 

箸袋でジャパニーズ・チップ

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ほんの数点、「不切正方形一枚折り」界隈の人が折ったらしき作品があって、その数点の存在を確認しただけで満足してしまいました。

 

箸袋でジャパニーズ・チップ!  テーブルのうえで見つけたいろんな形

箸袋でジャパニーズ・チップ! テーブルのうえで見つけたいろんな形

 

 

 

御子柴くんの甘味と捜査

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〈亀田藤田野田会田篠田〉が良かった。男前のモヤシがいたのも良かった。良い連作短編。

 

 

 



御子柴くんと遠距離バディ

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やたらと事件がたくさん起きるので最初はしんどかったけど「そういうもんだ」と割り切ったら楽しく読めた。

 

事件が目白押しの短編なのに、そこかしこに「御子柴くん」の人生がにじみ出ていて、良かった。

 

 

 

 

誰が「道徳」を殺すのか

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タイトルは扇動的だけど、内容には一定の抑制が効いていて、それほど不安なく読めた。

 

「いじめ」を「私的制裁」と置き換えて説明しているのは、悪くない作戦だと感じた。いじめと私的制裁は、厳密には別の概念だと思うけど、実際の現場での対応を考えると「近似値として同一とみなす」のは現実的だと思う。

 

しかし、法治国家日本において大切なことは空気よりも法律です。「〇〇は人の気持ちを考えられないから嫌い」「〇〇はクラスのムードを悪くするから不愉快だ」という空気はあっても良いのです。ない方が良いけれども、あっても仕方ない。しかし、そうだからと言って私的制裁である「いじめ」が是認される訳ではない。その道徳律こそ教えるべき点ではないでしょうか。(p.145)

 

〈モラルジレンマを取り入れる理由 その2〉

第2の理由は、モラルジレンマ授業が思春期の人間にとって圧倒的に面白いからです。中二病という言葉があります。(p.206)

 

誰が「道徳」を殺すのか  徹底検証「特別の教科 道徳」 (新潮新書)

誰が「道徳」を殺すのか 徹底検証「特別の教科 道徳」 (新潮新書)

 

 



 

リカーシブル

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一気に読んでしまった。読み終えて振り返ってもどこが面白いのか分からないのだけど、それでも一気に読まずにいられなかったので、相当に面白かったのだと思う。

 

生きるのって、しんどいし、しんどくても生きるあたりに、共感。

 

うん。

今夜のわたしは、すがすがしいほどに最悪だ。(p.138)

 

 

リカーシブル (新潮文庫)

リカーシブル (新潮文庫)

 

 

 

新しい植物分類体系

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難解そうなタイトルだけど、よく整理された内容のコンパクトな文章で読みやすかった。分子系統学による分類体系を採用した結果の話。

 

入れ子の(飛び地の)分類が許されない、というのは、考えてみたら当然のことだけど、読むまで気付かなかった。理論的にはすっきり納得だけど、利便性を考えると考察の余地もあるような気もする。(下の図(p.62)で、一番下のブンカンカをムクロジ科に含める場合、カエデ科とトチノキ科は独立した科には出来ない。カエデ科とトチノキ科を作るには、ブンカンカをムクロジ科とは別の科にする必要がある。)

 

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新しい植物分類体系?APGで見る日本の植物

新しい植物分類体系?APGで見る日本の植物

 

 

 

四色問題

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最終 11 章で突然、コンピュータを用いた証明を認めるかどうか(大量の組み合わせを扱うため人間の目で全パターンを確認するのが事実上不可能なタイプの証明を認めるかどうか)というメタ議論になり、一気に楽しくなった。くじけず最後まで読んで良かった。

 

証明の中のコンピュータを用いた部分を受け入れるかどうかは、年齢にも関係があるように思われた。ハーケンの息子のアルミンは(中略)講義を行ったが、最終的に聴衆は二つのグループに分かれたという。すなわち、四十歳以上の人々は、コンピュータによる証明の正しさを確信できず、四十歳以下の人々は、七〇〇ページにおよぶ手計算を含む証明の正しさを確信できなかったのである。(p.329)

 

ケン・アッペル自身も、この点に関しては自分の証明を弁護しようとしなかった。

 

これはひどい数学だ。数学は、簡潔でエレガントであるべきなのに」と言う人がいた。わたしもそれには同感だ。簡潔でエレガントな証明ができれば、それにこしたことはなかった。(p.340)

 

最も劇的な例は、数学科長が指導する大学院生との面会を禁じられたことだった。それは、以下のような理由からだった。

 

問題は、まったく不適切な方法で解かれてしまった。今後、一流の数学者がこの問題に関わることはないだろう。たとえ適切な方法で問題を解けたとしても、これを解いた最初の人間になることはできないからだ。まともな証明が得られる日は、無期限に遠ざかってしまった。誰もが納得できる証明には一流の数学者が必要だったのに、今やそれは不可能になってしまったのだ。(p.342)

 

 

四色問題 (新潮文庫)

四色問題 (新潮文庫)

 

 

 

リアルサイズ古生物図鑑 古生代編

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大きさが分かった(そのまま過ぎるけど、本当にそう)。あと、ネクトカリスがいつのまにかイカになっていて驚いた。

 

 

古生物のサイズが実感できる!  リアルサイズ古生物図鑑 古生代編

古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 古生代編

 

 

 

書物を焼くの記

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分量的にはほとんどが戦争・政治の話で、書物の話は少しだけだったけど、それでもやはり印象に残った。それはたぶん私の経験のせいで、本は持ってるけど、戦争は知らないからだと思う。

 

本は積んで、しまっておき、必要なときに使ったり読んだりするものである。売るものではないのだ。売るときのみじめな気持ちは、本当に情けないものである。わたしの心の傷は癒えないままだ。(p.62)

 

この本、2018 年の印刷で、とても綺麗な製本だけど、中身の組版は当時のままで、組版好きとしてはちょっと嬉しい。括弧内の小振りの文字を右のラインで揃えているところとか。

 

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当時の組版は、「美しさ・読みやすさ」と「組版の作業効率」とのバランスの上で成り立っていたんだろうな。と考えながら組まれた版面を眺めるのは、本当に楽しい。

 

最近の組版は、計算機が処理するようになったので、とにかく「美しく・読みやすく」なった。一方で、眺めただけでは「組版の作業効率」の部分が分かりにくい。組版を楽しむには、ある程度は自動組版DTP 等の知識が必要で、「敷居が高くなってしまったな」と思う日もある。

 

 

書物を焼くの記―日本占領下の上海知識人 (岩波新書)

書物を焼くの記―日本占領下の上海知識人 (岩波新書)

 

 

 

バベル島

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前に読んだときは若竹七海が誰なのか知らなかったので、改めて。なるほど若竹七海らしい匙加減の短編集。

 

 

バベル島 (光文社文庫)

バベル島 (光文社文庫)

 

 

 

五十円玉二十枚の謎

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お題が難しすぎる「雑文祭」だな、と思って読んで、後で調べたら第一回雑文祭よりもこの本の方が先でした。失礼な感想でした。「消失騒動」黒崎緑 が雑文っぽくて良かった(雑文祭の先入観が強い)。

 

競作五十円玉二十枚の謎 (創元推理文庫)

競作五十円玉二十枚の謎 (創元推理文庫)

 

 

 

 

錆びた滑車

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葉村晶シリーズ。読み終えて気付いたけど今回はホラー成分はほとんどなかった。そのせいか、いつもより生活感のある「不幸」が多く、個人的には満足。

 

錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)