仕掛けやオチが良く出来てて面白かった(けど物語全体のメッセージがうまく理解できなかったというのは内緒だ)。
(図書館で借りたのはハードカバーだったけど Amazon だと文庫しかないのかな)
人間用のテストを動物に適用できるわけない、という話。言われてみればその通りなのだけど、今まで特に意識したことがなかった。
科学の本(ちゃんとした科学の本)は本当に楽しい。良書。
人間は他者の言い分に注意を向け、ボディランゲージは無視してしまうが、動物は違う。彼らにとってはボディランゲージこそが唯一の手掛かりだからだ。彼らはボディランゲージを読み取る技能を毎日使い、その技能を洗練させ、手に取るように私たちの心を読むようになる。(p.150)
たぶんこう↓
①読んだつもりでも完璧に自分のものにはならないので、「読んだ」も「読まない」も大差ない。
②「本について語る」というのは「自分について語る」ということだ。
③自分を語れるなら読まなくてもいい。
なんだか良い本でした。【面倒臭い本ですが。】
本題とは別に、アマデウス(モーツアルトとかサリエリとか)にとても興味が湧いてきたりしました。
暴力というのは、実行行為だけではなく言葉の上だけであっても、単純な行為なので、「誰がやったか」はすぐに分かります。「誰がやったか」が分かる上に、単純な行為はその単純さゆえに、簡単に伝播します。つまり、暴力は簡単に応酬され、簡単に連鎖を生むということです。(p.21)
「私は本流に属する人間だ」と言ってる人間に対して、「いや違う。お前は本流をはずれた人間だ」などと言ってしまうと、差別になります。つまり、誰でも「私は本流だ」と言えて、「本流の立場」を仮想することは出来るのです。だからどうなのか? みんな意地悪なんかをする必要がなくなって、平気で暴力的になれるということです。(p.33)
楽しい。大量の無駄な雑学、ネタ、専門知識と、ほんの少しの本音らしき何か。
むかしのウェブでどっぷり読んでた「雑文」(「雑文祭」とかやってた雑文)が、丸々一冊。これは良い本に出会った。
いくつか引用。
亜種ウグイスに罪はない。聟島でのハシナガウグイス絶滅も、外来種の野生化も、外来種駆除も、全て人間の仕業だ。しかし、罪の有無と、在来の鳥に対する影響への配慮は別の話だ。ひとたび個体数が増えるとその対処は格段に難しくなる。場合によっては、増加前に駆除する英断も必要とされる局面である。もちろん、これも自然の推移と現状を見守ることは容易である。しかし、それが模範解答とは限らない。
自然を管理するなど、傲岸不遜かもしれない。それでもなお、人の影響を受けて目の前で変容していく生態系を、見ない振りはできない。亜種ウグイスは、私を悩ませる懸案事項の一つだ。こうして、私はウグイスと不仲になったのである。(p.38)
理系研究者の悪い癖だ。全ての行動にもっともらしい理由をつけたくなるのだ。理由がないと不安になり、ストレスが高じて軽犯罪に手を染めそうになる。社会の秩序を守るためにも、行動には論理的な理由が必要なのである。(p.75)
野生動物の運動は非常に優れており、人類の崇拝の的となってきた。鳥のように飛びたい。イルカのように泳ぎたい。ナマケモノのように怠けたい。彼らの洗練された運動能力は常に人間の一歩先を行っている。(p.105)
その際学生に向かって、日本ではハチの幼虫を食べるのだとうっかり口にしてしまった。
学生たちはソワソワし始める。鳥のことを忘れてハチを探し始め、巣を突き止め突如襲撃する。ハチの巣を片手に笑みを浮かべ、モリモリと幼虫を食べ始めるその姿は妙に誇らしい。新たに得た情報を、即座に検証する姿勢に、若き研究者としての有望さを感じた次第である。(p.144)
トリックだけでなく、物語があり、良かった。久しぶりの(まる二か月ぶりの)読書で気力が続かないかと不安だったが、払拭してくれる面白さ。一気に読めた。
2017 年のパインぱんの人。妻のパインぱんフォルダより(妻に感謝)。少し大人びた印象。
小説なのに、テレビドラマみたいだった。不思議な感覚。
一点突破の推理がお見事。テレビ版は見てません。
周りの人たちを次々と幸せにするけど、飼主(作者)本人には特別な幸福は訪れないあたりが、なんだか悪くない。それでも飼主は猫がいると幸せ、というのがとても良い。
「このチヨダ・コーキって、ほぼ西尾維新だよなあ」などと無責任なイメージを持ちながら読んでいたのだけど、最後の最後で、解説が西尾維新だったので驚いた。
あと、何の前触れもなく松本零士の戦場まんがシリーズが出てきたのにも面食らった。
カメラの前に現れた彼は、今と同じようにTシャツとジャージ姿だった。違うのは、Tシャツに松本零士の『スタンレーの魔女』の日本軍爆撃機が描かれていたことと、ジャージが短パンだったことだ。(p.134)
今回もホラー成分は控えめ。降りかかる不幸を淡々と受け止める葉村さん。