葉村晶の人物描写が全体的にひどいのだけど、それでも彼女が信頼に足る人物だと思えるのが不思議。
シリーズ1作目から読んでよかった。
推理小説なんだけど、話の構成がホラー小説で、放り出される感じが少し怖かった。
名探偵が一人で全部解決するのではなく、それぞれが少しずつ解決していくスタイルが気持ちいい。
今回は、仕事でしんどいのに本を読む気力があった。素晴らしい。疲れて寝てしまいそうになったときに「そうだ風呂に持ち込んで読めば目が冴えるのでは!」などと思ってそのまま風呂で眠ってしまって、本をシナシナにしてしまったりした。
結局挙式は先送りされたのにハッピーエンドだったりする。素敵なエンディングでした。
語り口が軽妙で、かつ、謎解きも読者が分かりやすいように配慮されていて、気持ちよく読めた。推理小説は難解になりがちだけど、小説であるかぎりは、分かりやすさは大切だ。
もう物語要素やミステリー要素はどうでもよくなっていて、いろんなエピソードが積み重なっていくのが、ただただ楽しい。
面白かった。地味な正義感がとても良い。
登場人物それぞれが小説で語る、という特殊なシチュエーションを成立させちゃったのが素晴らしい。読んでて楽しかった。あと表紙の「黒」の点々部分が、とても良い。
娘の下宿に上巻があったので読み始めて、中巻を古本屋で買って、下巻は図書館で借りた。
最初はしんどかったけど、生物学とか動物社会学とか考えるのを諦めたら、楽しく読めた。知らないほうが良いこともあるな、と実感。
最後まで一気に読んで、納得の読後感だったのだけど、冷静に考えると何も解決してないことに気付いた。それはそれで悪くない。
短編集。仕掛けが難しかったり、結末が難しかったり、案外しんどかった。
一本の新幹線に人生を詰め込んだ「彗星さんたち」が良かった。非現実的な仕掛けでも、語られる物語とマッチしていると、気持ち良い。
あ、あと、サンタクロース団体の「一人では無理がある」も、良かった。
帯に書かれていた通り、確かに見事なドンデン返しだった。
戸塚原くんがそういう趣味を持っていれば、最高のハッピーエンディングだったのに。
一日で一冊を読み切った。何年ぶりだろう、こんな風に気力と体力と時間がすべて揃うのは。
叙述トリックは嫌いなのだけど、あまりにあからさまだったので、「騙された感」が薄くて、素直に読むことができた。
外国の諺を思い出していた。『悪魔は絵で見るより黒くない』
図書館で借りても、貸出期間の2週間では読みきれない、というのが続いていたのだけど、今回は読めた。嬉しい。
試験管内自己複製系により生命の起源を探求してきた、この分野の第一人者とも言えるジェラルド・ジョイスは、かつて生命の定義について "Life is a self sustaining chemical system capable of undergoing Darwinian evolution(生命とは、ダーウィン進化する能力を持つ、持続的な化学システムである)" とした。この言葉は NASA による「生命の定義」にも採択されている。(p.156)
「chemical(化学)」は不要だと思う。
それは「ヒト」としては生きていても、「人」としては亡くなっている、とでも表現され得る奇妙な状態である。(p.188)
科学(生物学)分野では生き物の名前をカタカナ表記する、という日本の風習を上手く利用した表現で、興味深い。