何様ですか?

帯に書かれていた通り、確かに見事なドンデン返しだった。

 

戸塚原くんがそういう趣味を持っていれば、最高のハッピーエンディングだったのに。

 

 

何様ですか? (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

何様ですか? (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー

 一日で一冊を読み切った。何年ぶりだろう、こんな風に気力と体力と時間がすべて揃うのは。

 

叙述トリックは嫌いなのだけど、あまりにあからさまだったので、「騙された感」が薄くて、素直に読むことができた。

 

外国の諺を思い出していた。『悪魔は絵で見るより黒くない』

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

 

 

 

ウイルスは生きている

図書館で借りても、貸出期間の2週間では読みきれない、というのが続いていたのだけど、今回は読めた。嬉しい。

 

試験管内自己複製系により生命の起源を探求してきた、この分野の第一人者とも言えるジェラルド・ジョイスは、かつて生命の定義について "Life is a self sustaining chemical system capable of undergoing Darwinian evolution(生命とは、ダーウィン進化する能力を持つ、持続的な化学システムである)" とした。この言葉は NASA による「生命の定義」にも採択されている。(p.156)

 

「chemical(化学)」は不要だと思う。

 

それは「ヒト」としては生きていても、「人」としては亡くなっている、とでも表現され得る奇妙な状態である。(p.188)

 

科学(生物学)分野では生き物の名前をカタカナ表記する、という日本の風習を上手く利用した表現で、興味深い。

 

ウイルスは生きている (講談社現代新書)

ウイルスは生きている (講談社現代新書)

 

 

 

カササギたちの四季

登場人物の人間関係が、うまい具合に曖昧に表現されていて、心地よかった。

 

「まるで活字がスーツを着たような印象の男性」という表現に、思わず和んでしまった。他にも、ところどころに、おそらく意図的に仕込んだらしき妙な表現があって、楽しく読めた。

 

 

カササギたちの四季 (光文社文庫)

カササギたちの四季 (光文社文庫)

 

 

 

2016 年のパインぱんの人(確認できず)

2016 年のパインぱんの人は、残念ながら確認できず。妻のパインぱんフォルダより(妻に感謝)。「ぞっこん♡」であることは分かる。これはこれで趣深い。

 

不条理な殺人 ミステリー・アンソロジー

もう半年か、もしかしたら一年くらい、読後の疲労感がひどくて、実は「本を読むのが怖い」と思ってた。

 

この本は短編集、しかも短めの話ばかりだったからか、読んでも疲れなかった。久々の「疲れない読書」はとても楽しかった。

 

しばらくはリハビリとして短編集を探してみるかなあ。

 

 

 

すべての疲労は脳が原因

おおよそ予想どおりの内容だった。科学的な裏付けが書いてあったり無かったりするあたりも含めて、予想どおりだった。

 

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

 

 

 

「動かない」と人は病む

生きるためには社会参加が必要。確かに。わかりやすく、節度があり、とても良い本。

犬は「しつけ」でバカになる

副題に「動物行動学」、「認知科学」の単語があったので、つい期待してしまったのだけど、そういう本ではなかった。そういう期待をしなければ、かなり面白い本だと思う。

こういう羊頭狗肉な本が、新書にはやや多い気がする。新書を読もうという意欲が少しずつ削られていくのが、ちょっとつらい。

犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える (光文社新書)

犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える (光文社新書)


水曜日のアニメが待ち遠しい

悪者にも人生がある、シリアスとユーモアの共存、フランスで日本アニメが受け入れられる過程の偶然、など、作者の考えに賛成。ちょっと裏付けが弱い気がするけど。

サブタイトルに「解き明かす」とあったので変な先入観があったかも。もう少し「エッセイ寄り」だと思って読めば、多分ちょうど良い。

変身

何となく敬遠してしまってた東野圭吾を、妻が図書館で借りてきていたので「これはチャンスかも」と読んだ。

読むと面白いんですよね。でも自分で選ぶときには、つい敬遠しちゃうんですよね。なんでだろ。

変身 (講談社文庫)

変身 (講談社文庫)


海洋生物学 地球を取りまく豊かな海と生態系

これは良い教科書。実例の拾いかたが上手いのかな。

このシリーズ(サイエンス・パレット)はハズレが少ない印象。

海洋生物学 (サイエンス・パレット)

海洋生物学 (サイエンス・パレット)


希土類少女

途中から「これは中年オヤジ向けのラノベでは?」と疑いながら読んでいたのだけど、最後まで読んでみて、うん、これは中年オヤジ向けのラノベだ。間違いない。それはそれで楽しく読ませていただきました。

希土類少女 (講談社文庫)

希土類少女 (講談社文庫)


ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ

辻村深月の物語は、面白いけど、疲れる。最近気力が少なくなっていて、疲れるのが嫌だったので、ちょっと避けていた。久しぶりに読んでみたら、やっぱり疲れた。疲れるけど面白い。もっと元気になりたいなあ、とぼんやり思う。

私は疲れてて、早く自分に限界が来るように、ただ待っていた。ドラマで見るみたいに、ふっつり意識が途切れて、気づいたら病院、とか、そんな風に、自分の旅に終わりが来ることだけを祈ってた。(p.381)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)


超ディープな深海生物学

だいたい自分で「超ディープ」とか言ってるのがディープだった試しはないのだけど、でもとても良い本だった。たとえば、こういう視点(引用)を堂々と書くのは素敵だ。批判もあると思うのだけど。

ウミユリは本来、棲息できないはずの泥底や砂底でも、私たちが出したゴミを基質とすることにより、新たな棲息環境へ進出できた。「ゴミから生まれる生態系」というと、あまりいい気がしないのは、私たち人間の感覚にすぎない。生物の視点からは、棲息環境の拡大というメリットを与えている。環境を撹乱することは、生物学的には必ずしも悪いことともいいきれない。

「おわりに」の書き出しがダンゴムシなのも、良い。

子供のころ、石の下などにいるオカダンゴムシを掌に乗せ、つついて体を丸くさせた記憶を持つ方も多いと思う。いまでも子供たちのよき遊び相手である。そんな身近な存在のオカダンゴムシだが、実は近世以前の日本には棲息していなかった外来生物である。

超ディープな深海生物学(祥伝社新書)

超ディープな深海生物学(祥伝社新書)