すべての疲労は脳が原因

おおよそ予想どおりの内容だった。科学的な裏付けが書いてあったり無かったりするあたりも含めて、予想どおりだった。

 

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

 

 

 

「動かない」と人は病む

生きるためには社会参加が必要。確かに。わかりやすく、節度があり、とても良い本。

犬は「しつけ」でバカになる

副題に「動物行動学」、「認知科学」の単語があったので、つい期待してしまったのだけど、そういう本ではなかった。そういう期待をしなければ、かなり面白い本だと思う。

こういう羊頭狗肉な本が、新書にはやや多い気がする。新書を読もうという意欲が少しずつ削られていくのが、ちょっとつらい。

犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える (光文社新書)

犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える (光文社新書)


水曜日のアニメが待ち遠しい

悪者にも人生がある、シリアスとユーモアの共存、フランスで日本アニメが受け入れられる過程の偶然、など、作者の考えに賛成。ちょっと裏付けが弱い気がするけど。

サブタイトルに「解き明かす」とあったので変な先入観があったかも。もう少し「エッセイ寄り」だと思って読めば、多分ちょうど良い。

変身

何となく敬遠してしまってた東野圭吾を、妻が図書館で借りてきていたので「これはチャンスかも」と読んだ。

読むと面白いんですよね。でも自分で選ぶときには、つい敬遠しちゃうんですよね。なんでだろ。

変身 (講談社文庫)

変身 (講談社文庫)


海洋生物学 地球を取りまく豊かな海と生態系

これは良い教科書。実例の拾いかたが上手いのかな。

このシリーズ(サイエンス・パレット)はハズレが少ない印象。

海洋生物学 (サイエンス・パレット)

海洋生物学 (サイエンス・パレット)


希土類少女

途中から「これは中年オヤジ向けのラノベでは?」と疑いながら読んでいたのだけど、最後まで読んでみて、うん、これは中年オヤジ向けのラノベだ。間違いない。それはそれで楽しく読ませていただきました。

希土類少女 (講談社文庫)

希土類少女 (講談社文庫)


ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ

辻村深月の物語は、面白いけど、疲れる。最近気力が少なくなっていて、疲れるのが嫌だったので、ちょっと避けていた。久しぶりに読んでみたら、やっぱり疲れた。疲れるけど面白い。もっと元気になりたいなあ、とぼんやり思う。

私は疲れてて、早く自分に限界が来るように、ただ待っていた。ドラマで見るみたいに、ふっつり意識が途切れて、気づいたら病院、とか、そんな風に、自分の旅に終わりが来ることだけを祈ってた。(p.381)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)


超ディープな深海生物学

だいたい自分で「超ディープ」とか言ってるのがディープだった試しはないのだけど、でもとても良い本だった。たとえば、こういう視点(引用)を堂々と書くのは素敵だ。批判もあると思うのだけど。

ウミユリは本来、棲息できないはずの泥底や砂底でも、私たちが出したゴミを基質とすることにより、新たな棲息環境へ進出できた。「ゴミから生まれる生態系」というと、あまりいい気がしないのは、私たち人間の感覚にすぎない。生物の視点からは、棲息環境の拡大というメリットを与えている。環境を撹乱することは、生物学的には必ずしも悪いことともいいきれない。

「おわりに」の書き出しがダンゴムシなのも、良い。

子供のころ、石の下などにいるオカダンゴムシを掌に乗せ、つついて体を丸くさせた記憶を持つ方も多いと思う。いまでも子供たちのよき遊び相手である。そんな身近な存在のオカダンゴムシだが、実は近世以前の日本には棲息していなかった外来生物である。

超ディープな深海生物学(祥伝社新書)

超ディープな深海生物学(祥伝社新書)



ジョン平とぼくときみと

疲れ果てていて、本なんて読めないかも、と思ってたのだけど、読むと元気が出た。好きな小説があると元気が出るんだ、ということを思い出させてくれた。感謝。

ジョン平と重は、どこか「フェア(公正)」な感じがあって、好きだ。

形態学 形づくりにみる動物進化のシナリオ

進化論の本は大抵なんでも楽しく読んでしまうのだけど、この本は別格に面白かった。

振り返れば、比較形態学や比較発生学の歴史は、動物の解剖学的成り立ちや、それが進化する規則性を抽出することを通じて間接的に、胚の進化発生的モジュール構成を感知する試みであったといえよう。イデア論的原型に従って多様化するのではない。発生の機構の中に成立した法則性のゆえに、観察者の認識に原型が生まれてしまっただけの話なのである。(p.152)

ぐるぐる猿と歌う鳥

久しぶりに小説を読んだ。小説を読む気力がある、というのは幸せだ。ミステリーの部分にかなり無理があるけど、こういう「物語」は好きだ。そう思って振り返ると、加納朋子の「物語」は大抵好きだな。

生命のからくり

分子構造などの物理的化学的な説明を踏まえた上で、生命の本質は「情報」だと書かれていて、そのギャップが楽しかった。物理的化学的な内容と、それをそぎ落とした「情報」の、両方を扱った本は少ないので。

生命のからくり (講談社現代新書)

生命のからくり (講談社現代新書)


知られざる日本の恐竜文化

途中、オタク論あたりで、読む本を間違えたかと思ったけど、ここを乗り越えたら後は普通に読めた。クセがある文章で、斜め視点だけど、良い本。

化石が枯渇する、という視点は気付いてなかった。確かに。
もっとも、その前に、物理的に恐竜研究の歴史には一つの区切りがつけられることになるのはたしかだ。地球上の中生代の露頭の総量は限られており、いずれ遅かれ早かれ発掘可能なすべての恐竜化石は完全に掘り尽くされる日がやってくる。これは、石油がいずれ枯渇するのと同様、避けることのできない宿命である。この時を境に、恐竜学とは、過去に発掘されたすべての化石の再解釈を専門とする完全なインドア科学へと変わり、さらには他のあらゆる生命科学と同じく、コンピューター上に構築されていく全地球生命史のシミュレーションの流れに合流していき、最終的に、恐竜学というジャンルを標榜する必然性も失って、科学としての歴史を閉じることになるのである。(p.146)

知られざる日本の恐竜文化 (祥伝社新書)

知られざる日本の恐竜文化 (祥伝社新書)